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『地球防衛軍』嫁探しの侵略宇宙人

宇宙でも嫁不足は深刻です。

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.10で、1956年の映画『地球防衛軍』を観た。ネタバレ注意。かつて火星と木星の間に存在した遊星「ミステロイド」の生き残り、ミステリアンが富士山麓を占拠。半径3キロの土地と、地球人女性との結婚を要求してきた! 圧倒的な科学力を持つ割には謙虚な要求ですが、地球側は断固拒否。人類は地球防衛軍を結成し、ミステリアンと全面対決する。

いつの間にか地球防衛軍が結成されているあたりが駆け足気味ながら、宇宙人を単なる侵略者ではなく、移住を希望する異民族と描いている所が面白い。うまく交渉すれば、土地や嫁の提供と引き換えに、技術供与を要求することもできたのでは。腕力一辺倒の地球人は、野蛮だなあ。

メカ描写では、巨大飛行艇のα号、β号や、自走式熱線反射器のマーカライト・ファープといった、オーバーテクノロジー気味の決戦兵器が登場。開発経緯をすっとばしているので、唐突感は否めないものの、デザインはカッコイイです。

地球人と宇宙人の異文化交流、技術交流といった部分が物足りなく感じたものの、迫力の特撮バトルを堪能しました。ちなみに、日本公開時の同時上映は『サザエさんの青春』、アメリカ公開時のタイトルは『The Mysterians』だそうです。

デストロイな初代『ゴジラ』を観た

次のカタカナを漢字に直せ→ゴジラ(5点)。

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.1で、1954年の映画『ゴジラ』を観た。ネタバレ注意。大戸島の伝承にある怪獣「呉爾羅」が、核実験の余波で復活し、東京を襲撃したからさあ大変。「生物学的に貴重でも、害獣である以上は駆除しなければならない」や、「ゴジラを倒しうる新兵器が、あらたな戦争の火種になるのではないか」、などのジレンマがちゃんと描かれている。被爆体験をふくめた戦争再来の恐怖が具象化した存在こそが、ゴジラなのです。

シリーズ物の第1作は、あれこれ試行錯誤がうかがえて面白い。水戸黄門だって、初期シリーズは印籠をだすタイミングや所作が確定しておらず、安心して観られないところが素敵。ゴジラも、第1作は定期的に日本を襲撃する巨大生物というフォーマットが存在しないところから生み出されているので、ゴジラの暴れっぷりも、人々の逃げ惑いっぷりも、新鮮さがある。登場する乗用車やバス、ヘリコプターといった実在のメカが、古くさいを通りこしてビンテージの域に達しているのも見物です。

モノクロ映画時代の作品なので、特撮はチープだし、迎撃作戦にもツッコミ所はあるのですが、登場人物たちの想いがコンパクトながらも書き分けられていて、大人の鑑賞に耐えるドラマになっています。

冷たいドリル『海底軍艦』を観た

地に潜り、空も飛ぶよ!

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.4で、1963年の映画『海底軍艦』を観た。ネタバレ注意。地上征服をもくろむ「ムウ帝国」と、旧日本軍の残党が極秘に開発した海底軍艦が激突する。本作で有名なのは、何と言っても海底軍艦「轟天号」。ドリルのついた戦艦が空を飛ぶという、男子のロマンが詰まった素敵メカ。主力兵器は、何でも絶対零度に凍結させる冷線砲。海底軍艦という名前以上に、陸海空を自在に駆ける万能戦艦です。

先日鑑賞した1973年版『日本沈没』は、特撮に経年劣化を感じさせるものの、骨太なストーリーで楽しめたので、『海底軍艦』も期待していたのだが、こちらは子供のころは面白くても、大人になって見返すと「アレレ?」となる感じ。大日本帝国復興を企図して建造された「轟天号」が、世界帝国たる「ムウ帝国」の凶行を阻止するため、いわば毒をもって毒を制す形で世界の危機を救うところや、怪竜マンダとの死闘、恋や親子の確執と言った、面白くなりそうな要素が、軽く流されているのはもったいないと思った。尺の都合か、拉致国家であるはずの「ムウ帝国」女帝が、あまりにも簡単に拉致られたのには、参った。とにかく轟天号がカッコイイので、その勇士を見る価値はありますけど、それ以外が物足りない感じ。

ドリルの先端が、回転時に前後へピストン運動しているのが、萌えポイントです。

1973年版映画『日本沈没』小野寺君ライダー

で、いつ変身してくれるのかな?

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.6で、1973年の映画版『日本沈没』を観た。高度成長に沸く昭和の日本である日、日本列島が沈没することが明らかになり、さあ大変という映画。平成日本版はすでに鑑賞してますが、1973年版の方が面白かった。

特撮シーンは基本的にミニチュアですが、かなり気合いが入っており、造り物とわかっていても楽しめる。日本が沈没するというテーマだけに、ブッ壊しまくり、フツ飛ばしまくりが爽快。動の特撮シーンが迫力満点な一方、静の会話シーンは小声でボソボソ喋っているので聞き取りづらい。ここらへんは、劇場で観るべき映画だから当然か。主役が藤岡弘さんなので、いまにも仮面ライダーに変身しそうなモミアゲっぷりでした。

パニック物のテーマとして、世界滅亡ではなく日本列島だけが沈没するというのは、いささか小規模ではありますが、その分、日本人にとっては身につまされる題材ではある。この作品が他と一線を画するのは「日本が沈没するなら、いっそこのまま滅んだほうがいい」という意見が提示されること。他国のパニック物で、そういう考え方は、なかなかお目にかかれないと思う。

『日本沈没』は平成漫画版にハマッてから、原作、映画、マンガと一通りおさえたつもり。あとはテレビドラマ版と、ラジオドラマ版と、『日本以外全部沈没』かな。