「小説」カテゴリーアーカイブ

『瓦礫街道』Twitterで小説を:その151~160 #twnovel

ペースが落ちてきた。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

151)○ベッドライナー7:「今度は『ホジャの霊園』か」「『トロイの木馬』みたいなもの?」「いや、正面に強固なネット防壁を設け、背後はガラ空きのシステムさ」「意味あるの?」「響美、君みたいな技術バカを釘付けにするためさ」「ちょっと黙って。もう少しで突破できるんだから!」

152)●瓦礫街道:「ロボットひとつ、くださいな♪」笑顔で来店した子供の後から、偉丈夫が続く。「人型建機を借りたい」親父は男を一瞥する。「あんたなら、自分で稼いだ方が良くないか?」「いや、これも借り物でね。体は震災で失ったよ」野太い声で答えたのは、小さな子供の方だった。

153)●謎機械:半島北部に、構造物が屹立する。「これはミサイルですか?」「断じて違います」「人工衛星の打ち上げですか?」「それも違います」「では、何なのですか?」「実は、異星人の恒星間宇宙船です」「まさか!」「閉鎖的で信用のない国は、意外と侵略拠点に向いているのです」

154)●空席:満員電車でもまれた先に、ぽつりと空席がある。優先席でもなければ、汚物が染みているわけでもない。疑問を抱きつつも幸運に感謝し、体をひねって腰を落とす。「それで、ここに転移してきたわけか」「僕の世界の鉄道車両は、神様ではないし、乗客を喰ったりもしないからね」

155)●摩天楼:埋め立て地へ掛けられた橋を、風雨に翻弄されつつ渡る。対岸の昇降施設は閉鎖中。行って戻るだけの散歩道だ。怪獣じみた斜張橋を越えると、不意に風雨が途切れ、広がる、あるはずのない摩天楼。幻の未来像かもしれない。でもいつか、あの街にたどり着くと誓って折り返す。

156)○ベッドライナー8:「なぜ、情報が嘘だと思う? 辞典にも載っているんだよ」「最近のことでしょ?」「ネット以外にも複数のソースがあるぞ」「信じてくれて、ありがとう。でもね、嘘の情報を何度も参照させて、情報源としての正当性を偽造する。あたしの仕事だから間違いないわ」

157)○カエン:食事代に小銭を出す。「ダメね。『カエン』以外は御法度よ」関東州ではカード型の円、カエンしか使えないのだ。「けど、いいわ。あたしのおごりよ」そう言って、女将は小銭をポケットに仕舞い込む。思った通りだ。「おばさん、僕はカエンじゃ買えないものを探してるんだ」

158)●故障:図書館のパソコンコーナーにて。女性が『故障』と貼り紙がされた機器を、必死で操作している。「それ、壊れてますよ」声をかけられても、意に介さない。やがて彼女は息を吐き、貼り紙をはがす。世界の『故障』は修理された。真理に直結できる端末の存在を知る者は、少ない。

159)●議論の時:世界に残された、わずかな人々が議論する。「神は、生き延びろと言っている」「神などいない。自身の力で生き延びるのだ」彼らを監視する、意志がつぶやく。『神ではないが、自身の力で生き延びて欲しいね。かつて君たちがしたように、我々も人類を復活させたのだから』

160)○口止め料:異国の軍艦が嵐で沈没した。僕は大人にかくれて、遭難現場の近くで漂着物を漁っていた。そこで、異国の大男と出会ったんだ。男は後ずさる僕を呼び止め、填めていた指輪をくれた。僕は黙って頷く。軍艦に乗っていたという皇族の遺体は、とうとう見つからなかったそうだ。

『星の箱庭』Twitterで小説を:その141~150 #twnovel

試行錯誤中。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

141)●優越感:念願の車を手に入れた。費用はかかったが、注目度も高く良い気分だ。難点は、補給。ようやく見つけたスタンドで、燃料を注ぐ。電気なら瞬時にチャージされるが、この手間が良い。電気自動車全盛の時代に、あえてガソリン車を選択する。この趣味は、容易には理解されない。

142)●清掃志望:「清掃のバイトをしたいのですが」「トイレ清掃があるので、男性は不可なんです」「なら、女装します」「女装は不可です」「実は女なんです」「性別不詳も不可です」「本当は人間じゃないんです」「人間以外の方は……ひいっ!」「そうか、女に化けとけば良かったんだ」

143)●ナンバーツリー:街路樹の幹に填められた、プレートを確認する。「R43、R44、R45……おや?」R46の樹が行方不明だ。剥落したプレートを拾おうとかがむ私に、頭上から枝葉が襲いかかる。制御ユニットを失い、街路樹から害路樹と化した個体を処分するのも、私の役目だ。

144)●終末の日:世界が終わる。名残を惜しみ、閑散とした街を歩いていると、終末の鐘が響く。見知らぬ誰かの挨拶。「さようなら、またどこかで」「またお会いしま……」返事をし終える前に世界が暗転し、強制的にサービスが停止した。不人気のネットゲームなんて、するもんじゃないな。

145)●襲来:夜の東京湾を埋め尽くし、怪魚の群が背ビレを発光させている。誰もが、あの震災から連なる事象であると理解していた。だが、マスコミは知ってか知らずか、呑気な報道に終始するのみ。私は手にしたスポーツ紙を握りつぶす。見出しにはこう書かれていた。『ギョジラ襲来』と。

146)●船出:船内は、おごそかな沈黙に包まれている。僕は、彼女は見送るために乗船した。彼女の髪を撫で、唇を合わせ、別れを済ませる。口唇に冷気を残し、船は出航した。世界人口が減少を続ける時代だからこそ、許される贅沢。防腐処理された死者を乗せ、霊柩船は永遠の航海を続ける。

147)●星の箱庭:信州竜岡藩に、函館の五稜郭と同じ、星型稜堡が完成する。城郭といっても箱庭同然で、実用性は皆無。藩主松平乗謨(のりかた)自身、興味を失いつつあった。「地上に星を穿った次は、月を穿つ大砲を造ろう」仏語に長けた彼は今、ヴェルヌの『地球から月へ』にご執心だ。

148)○放尾:「もう一息なんだ!」「被害が増える。放尾しろ」「けど、あれにはアイツの魂が……クソッ」ビル群を縫うように高速移動する巨大な光球が、シェルターに避難した人々を魂消(たまげ)させ、地下へと没する。環境負荷に耐えかね、惑星に宿る魂すら離脱する時代となっていた。

149)○無魂:「あなたには、魂がない」「僕は無魂、なんですか?」「魂とは精神寄生体です。生来の無魂者であれば、問題ありません」「じゃあ、コイツは……」あれ以来、部屋の奥で眠り続けている彼女。「魂消(たまげ)た有魂者は駄目です。が、無魂者のあなたなら救えるかもしれない」

150)●優先権:会議室の扉を叩くと、資料を抱えた男が出てくる。空き部屋を勝手に使う輩だ。事前に予約した俺の方に優先権がある。その後も、不正に部屋を使おうとする連中を追っ払い、準備をすませた。そこへ、同僚が顔を出して告げる。「会議は隣の部屋だぞ。お前が予約したんだろ?」

『セルフネグレクト』Twitterで小説を:その131~140 #twnovel

クオリティをさらに上げたい。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

131)●流星:隣に停められたスポーツカーに、ぎょっとする。宇宙を翔けそうな、流線型のフォルム。路面との隙間はほとんどなく、タイヤが車体にめり込みそうだ。まともに走れるのか? 愛車に荷を積み、ふと横をみると、例の車が消えている。茜色の夕空に、駆け昇る流星。まさかね……。

132)○ベッドライナー4:偽造した社員証をつけ、オフィスビルに侵入する。朝の通勤時は、ゲートの認証もフリーパス。ネットワークの堅牢さも、これでは台無しだ。あきれる響美に、船真は言う。「偽造の社員証は、家庭用のプリンターで出力しただけさ。これが本物と同じ作り方だからね」

133)○ベッドライナー5:侵入したマシンルームで、響美は断言する。「このサーバは直接、クラックするのは無理ね」「どするのさ?」船真の問いに、彼女は隣のラックに据えられた機器を示す。「でも、更新前のこの旧サーバなら、クラックできる。構造は一緒だから、裏口を特定できるわ」

134)●ナビの空白:初めての首都高。ナビを頼りに入り組んだ道を走っていると、不意に地図表示が固まる。フリーズだ。「嘘だろ……」現在位置が、さっぱりわからない。気づけば、景色が東京らしからぬ異境に変わっていた。ナビが告げる。『現在地を特定できません。ここはどこですか?』

135)●Why?と諦:「例のブツだ」「ありがと。開けても良い?」「断固として、未開封を要求する」「じゃ、決然と開封を強行ね」「おいっ」バリバリ……。「って、ぶどうパン? アンタの好物じゃない」「まぁな」「つまり、ぶどうパンあげるからキスさせてよと?」「まぁ……むぐっ」

136)●転車台:「コラッ、入るな!」立体駐車場入口の転車台を横切ろうとして、怒鳴られた。「いいじゃん、ケチ」構わず、転車台に乗ったところで、固まる。手足が動かない。円盤上に奇怪な模様が浮かび、扉が開くと、煮えたぎる世界が広がる。「そこまで生贄になりたいのか。承知した」

137)●セルフネグレクト:朽ちたアパートの奥底に、老人は独居する。「いつまで、こんな生活を続けるのですか?」「ほっとけ若造」「嫌ですね」男は拳銃を抜き、老人に向ける。途端に、利き腕が雑巾のように捻れ、体液が滴った。それでも男は動じない。「万障を捻る、その力が必要です」

138)●蟲虫:書かれた名前は「蟲虫」。ムシチュウ、だろうか。ムシムシ、だろうか。「失礼ですが、何とお読みすればよろしいでしょうか?」蟲虫氏は、つまらなそうに答える。「見た通りですよ。虫がよっつで、ムシムシムシムシです」そうきたか。直球すぎて、連打で無視するレベルだぞ。

139)●呼び鈴:ファミレスで、呼び鈴を押す。「ただいま伺います」即座に声が返るが、それっきり。次で9643回目だ。こうなれば、店員が来るまで何度でも押してやるぞ。「パパ、あの人、何してるの?」「滅びた世界を忘れたくない人だよ」廃墟の中、彼は最後まで呼び鈴を押し続けた。

140)○ベッドライナー6:「ハニートラップだったわけか」二人はサーバルームに幽閉されていた。響美は、サーバに保管された病歴を含む生の個人情報に魅了され、役に立たない。船真は、囮のサーバにスタンガンを炸裂させる。火花散る残骸を前に、響美は怒りを省略して作業を再開させた。

『 #2秒でバレる嘘をつけ 』Twitterで小説を:その121~130 #twnovel

連作に挑戦中。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

121)●サードホイール:「僕はお邪魔虫だ」と、修平は思う。「俺は余計な存在だ」と、保は信じる。二人は彼女への想いと、友情と嫉妬に揺れ動いていた。そして成実乃もまた、疎外感に苦しむ。「二人の友情には割り込めない。私は女の真似をして、愛情で二人を繋ぎ留めているというのに」

122)○ナンバレス:『あなたのマイナンバーは登録されておりません』何度、カードを通してみても、結果は同じ。番号登録も、遺伝情報も存在しないという。担当者が、警備員をともなって告げる。「最近、多いんですよね。死んだ所有者の記憶を移植しても、模造人間に人権はないんですよ」

123)○損失補填:「私が決めた契約ですから、結構です」「いえ、自分があなたの立場だったら、納得できませんので」「それで気が済むなら……」かくて私は、五年の寿命を補填された。付与される見込みと言われた、献魂補助余命十年がふいになり、担当悪魔氏は平身低頭することしきりだ。

124)●ホワイト対策:「これは難問だ」「どうしたの?」「こないだお前からもらったチョコのお返しを、どうしようかと思って」「まだ半月もあるじゃない?」「そうだけど、当日は万全の体制で臨みたい」「じゃあ、攻略対象から確認」「どうぞ」「攻略より占領政策を知りたいんだけど?」

125)#2秒でバレる嘘をつけ:「俺、この戦いが終わったらワイフと離婚するんだ」「お前、結婚してないだろ。んで、戦争中じゃねぇだろ」「いや、これは死亡フラグを回避するための高度な……」「意味わかんねぇよ。だいたいそれ、彼女と結婚するだろうが!」「意味、わかってんじゃん」

126)○判定:「一年後の今だから聞くけど、安全だと言ってた奴と、危険だと言ってた奴、どちらが正しかったと思う?」「好きな方を信じなよ。安全と言う奴は、安全であって欲しい側の人間で、危険と言う奴は危険であって欲しい側の人間だから。どちらも、君を守ることに興味はないのさ」

127)○ベッドライナー:捕縛され、秩序に塗り固められてもなお、彼女は我欲に忠実だった。それは、情報欲。「その趣味は共感しかねるよ」監視者の嘆息を無視し、彼女は画面にあふれる情報の濁流をうっとりと見つめる。懲役千年の極悪クラッカーは、食用クラッカーの顧客情報に欲情中だ。

128)○ベッドライナー2:稲城響美(イナシロ・キョウミ)はクラッカー、サウザンドの表の顔だ。改竄を重ねた彼女の経歴は、あらゆる誤情報が績層している。学生であること、良家の子女であること、さらに裏の顔すら虚偽。「否白・興味」潔白を否定し、興味に忠実。それが彼女の本質だ。

129)●忘れてました:デートの日を忘れていた。予定を告げるスマートフォンをひっつかみ、家を飛び出す。これさえ忘れなければ、大丈夫。もう、忘れん坊とは言わせないぞ。アパートに駆けつけ呼び鈴を押すと、出てきたのは怪訝な表情の彼女。「あんた、私と別れたの、忘れてるでしょ?」

130)○ベッドライナー3:和泉船真(イズミ・センマ)にとって、響美は興味深い異分子だった。枠にはめられた秩序ではなく、筋金の通った混沌。それを秩序へ導くことが、自身の責務。彼女が犯罪者を狩るための疑似犯罪者と化したことへ、本人以上に責任を持つべきだと彼は確信している。

『東京ゲートブリッジ』Twitterで小説を:その111~120 #twnovel

書いた後で、橋を見に行きました。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

111)●マイハンガー:毎朝、職場のクローゼットに上着を掛けようとすると、俺のネーム入りハンガーへ、女物のコートが掛かっている。誰だか知らないが、掛け直すのも面倒なので、新しいマイハンガーを用意した。これが彼女との馴れ初め。ふたつのマイハンガーは、いまも役に立っている。

112)●東京ゲートブリッジ:響は奈香にとって、このトラス橋みたいなもの。同期の俺と結婚して子供を作り、家庭を守る。そんなありふれた、どん詰まりの経路に拓けた、臨海道路。「でも、彼女は道に迷った。それを正して欲しいの、渡」大人びた奈香が、経路を変えに来たのと舌を絡める。

DSC_0055

113)○ドミノ:東海地方の大地震は、早朝に起きた。避難した近所の高台は霊園になっている。眼下の街へ、かつて映像で見たような大津波が遡上し、我が家を押し流した。腹に響く衝撃。彼方に見える富士山が黒煙を噴いていた。強い余震。地盤に亀裂が走り、墓石がドミノのように倒れ行く。

114)●駄作愛好:「すごく面白いのに売れない作品と、すごく売れるけどつまらない作品、どっちが良い?」「そうね、すごくつまらなくて、売れない作品が良いな」「すごく面白くて、売れる作品じゃなく?」「ええ、私だけがこの作品を愛でているって気がする」「好きです、僕を愛でて!」

115)○紹介報酬:指定の商品をブログでご紹介すれば、報酬がもらえる。記事は送られたものを貼りつけるだけ。アクセスが増えれば広告収入も入ってくる。そりゃ、言われるままに、記事をアップし続けたさ。それが革命政権樹立のための世論操作だと気づいて、収容所送りになったってワケ。

116)○ナスレディン・ギア:なぜ僕は、軍用の人形機(ククラマキネ)を繰っているのか。滅び行く経済圏連邦など知ったことではない。欠陥品の新鋭機を扱えるのが、僕だけだからか? 否、前席から見上げる彼女が、すべての元凶なのだ。続き→小説『ナスレディン・ギア(1/3)「灰色の人形機」』 | ★Astronaut Blog

117)●ネジ:「理性」のネジがふっとんだ。すべてがどうでも良くなる。「欲望」のネジがふっとんだ。やりたいことがなくなる。このままでは、「本能」のネジもふっとびそうだ。本能のおもむくまま、理性のネジと欲望のネジを両目に突き刺すと、激痛とともに「後悔」のネジがふっとんだ。

118)●居酒屋:料理は凡百の居酒屋メニュー。だが、運ぶのは水着美女。職場の飲み会でこれはNGだろう。特に、あの人が。「ほら、手が止まってる。じゃんじゃん飲め!」半裸の美女が肢体を密着させてきた……って、よく見たら、下着姿の女上司。「こ、この店はお触り禁止ですよ、課長」

119)○棄セノン:朽ちた都市の狭間で、輝きの粒が不確かな熱を帯びている。「これがセノン、だよ」少年の答えに、少女は「ふぅん」とつぶやき、指でつまむ。途端に光が弾け、数瞬だけ都市が灯火に照らされた。「この力があったせいで、彼らは都市を棄てて、天辺世界へ旅立つ決心をしたんだ」

120)○小さいおじさん:完徹三日目の視野に、身長二十センチの小紳士が出現した。「おじさん、あの時みたいに教えて。私、どうしたらいいの?」「諦めなさい、と言ったは……」女優は反射的に、小紳士を握りつぶす。そうだ、あの時もこう言われてから、オーディションに勝ち残ったのだ。

『婚前交渉』Twitterで小説を:その101~110 #twnovel

まだまだ努力だなあ。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

101)○街撮り:被害者は死亡する前日、ソーシャルサイトへ二十四枚の写真をアップロードしていた。「問題は写真の撮影位置情報です」青年は端末を操り、撮影場所を市街地の地図上に印し、結線する。浮かんだ文字列は『KILL ME』。「このメッセージを読み取った何者かの犯行です」

102)●婚前交渉:君と結婚する前に、決めておきたいことね……そうだな。もし、僕らの関係が破綻したら、以前に貸したゲームソフトをどうするか? できれば返して欲しい。プレミアがついてるからさ……って、なんで怒ってるの? 婚前交渉するんだろ? え? そういう意味じゃないの?

103)○燃費競争:「これがハイブリッド車か。燃費はどう?」「適当に走っても、リッター二〇キロ以上でるね」「すごいな……にしてもずいぶん飛ばすんだな」「ちょっとしたゲームさ」「どれだけエコドライブができるかって奴?」「いや、その逆。どれだけ燃費を落とせるかに挑戦してる」

104)●赤いミミズ:釣りへ出かける直前に、息子が騒ぐ。「赤いミミズはイヤだよぅ!」「ミミズ? エサならパパがつけてやるから」何とかなだめすかし、車で出発したが、大渋滞に捕まってしまう。「赤いミミズだ!」息子が指さす先はカーナビ。渋滞を示す赤線で、びっしり埋まっていた。

105)○超銭湯:近所の銭湯がリニューアルしたと聞く。レトロな番台と脱衣所を抜けると、ペンキ絵の富士山と大きな浴槽があるだけだ。何が変わったんだ? だが、奥の階段を下ると、ジェットバスや各種露天風呂、岩盤浴場にサウナまで揃ってる。銭湯に偽装した、スーパー銭湯だったのだ。

106)●食育論:「たとえば、画期的な食品が開発されたとするよ? ものすごく美味しいんだけど、中にゴミが混じっていたら? 絶対に、受け入れられないと思うんだ。つまりコレは、既得権に守られたゴミ入り不完全食品だから……」「わかったから、さっさと焼き魚、食べちゃいなさい!」

107)○高額査定:「本当に、この値段ですか?」車の査定を依頼すると、新車並の値段を提示された。ボロ車に、こんな高値がつくはずがない。「あなたには、その価値があります」微笑む店主に危機感を抱き、私は宿主を逃走させた。奴は、私が運転者を操る車であることに気づいているのか。

108)●同好会:異星人が、地球を絶賛侵略中。「協力者になって欲しいの」俺を拉致した、異星の少女は願う。「断る」「この星を守ることになるのに?」「あんたらが侵略者だろう?」「それは侵略クラブ。私たちは侵略同好会よ」「学校活動かよ!」異星でも、同好会は予算が厳しいらしい。

109)○忘却:最近、マンガ読めなくなった。小説は、とっくの昔に読めなくなっている。「では、これを飲んでください」医者が処方してくれた、娯楽の記憶を消去する薬を服用する。マンガも小説も、新鮮で面白い。もっと早く飲のんでおけば……あれ? 以前にも、同じことがあったような。

110)○盗電:「まただよ……」駐車場に停めた、電気自動車への充電ができない。原因は使用量の超過。無茶な充電はしていないはずだ。夜、車の中で見張っていると、不意に電源が入る。外には無灯火の車が群れており、次々とフロントバンパーを接触させて行く。乗っているのはマネキンだ。

『ベテルギウスの泡』Twitterで小説を:その91~100 #twnovel

100本達成、まだまだ行くよ。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

91)○カメラ・オブスクラ:「暗がりの部屋から、真実を求めるべきではないと、あなたは言う。そうではない。私情を廃し、見たままを描く術があれば良いのです」そう言って、彼は精緻な景色が写し取られたガラス版を示す。画業の師は弟子を撲殺し、写真術はまたもや百年の眠りについた。

92)●選択:A社とB社、どちらの車を購入するか悩む。A社はデザイン、B社は環境性能に優れている。実物を見ても甲乙つけがたい。悩みになやんだ末、霊能者に除霊してもらう。物欲霊に憑かれるとは、今時珍しいですねと言われてしまった。昭和時代には、ありふれた霊だったそうだが。

93)○ベテルギウスの泡:僕は彼女と、星空を眺めていた。オリオン座の一角を占める、超新星が散る瞬間に立ち会えたなら、プロポーズしようと決めていたからだ。それが、今。輝く夜空に照らされた彼女を抱き寄せると、華奢な体が光の泡と化し、虚空に散る。彼女はジャウザーだったのだ。

94)●最後のアクセル:彼はエコドライブの達人。効率を追求し、燃費はリッター五〇キロ以上を叩き出す。エコマスターとしてメディアでもてはやされた彼が、不慮の自動車事故に巻き込まれた。辞世の言葉はこうだ。「こんなことなら、最後に思い切りアクセルを噴かしておくんだった……」

95)○進化は先:研究論文に疲れた夢うつつの中で、天から声が浴びせられる。『進化は先、進化は先』神の言葉だろうか。爆発的に文明を発展させながら、生物としては進化せぬ人類への警鐘だろうか。はっきり目覚めると、電車の中。アナウンスが告げる。『まもなく、新川崎、新川崎……』

96)●初志貫徹:「ぶどうパンあげるから、キスさせてよ」「やなこった」「え? アンタ、ぶどうパンが好物だったじゃない?」「その通り。だからこそ、お前のキスとセットなんて不純は我慢ならん」「むかっ、そんなこと言うなら、ぶどうパン抜きで純粋キッスの刑を執行よ!」「むぐっ」

97)●スマホ:うちの爺さんが、スマホが欲しいと言う。携帯の充電もしないくせに、どんな心境の変化だ? スマスマ騒ぐので、近所のホームセンターへついて行くと、携帯売場をスルーして住宅展示場へ。スマイルホームの、笑顔が素敵な須磨ほのりさんを紹介された。確かにスマホだ……。

98)○EV可能:二十年乗り続けたガソリン車を検分し、業者は言う。「車体は使えます。タイヤをインホイールモーターに、パワーユニットをバッテリーに換装すれば電動化できます」「運転は?」業者が得意げに取り出したのは、ゲーム機のコントローラー。味気ないモータリゼーションだ。

99)●自然が呼ぶ:下腹の鳴動につられ、オフィスを抜ける。たどりついた男子トイレは超満員。階段を下るが、男子トイレ満員。下るが満員。下る、満員。下、満員。下、満。クダッ……********……フゥ。 集団食中毒か? すごい行列だな。ともかく、ズボンをどうにかしたいよ。

100)●雪女:朝、ベランダに薄く雪が積もっていた。「近くに、雪女がいるんじゃない?」ルームメイトが冗談混じりに笑う。雨が降ると、この付近だけ雪になるのだ。「雪女ってか、雨女の雪バージョンよね。それとも雪男?」私も軽く返すが、実は先祖が雪女なのとは冗談でも言えなかった。

Twitterで小説を:その81~90 #twnovel

あとちょっとで100本です。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

81)○時空葬:「馬鹿なことはおやめなさい!」開発者の叫びも空しく、故人は冥王代へと転送された。有機物の塊が、原始の海に進化をもたらすのか? 死者のデータが、シミュレーションの海に没して行く。学術的に無価値と言われようと、時空葬は画期的な葬儀パッケージとして大人気だ。

82)●生存保証:余命半年を宣告された闘病生活も、一年をすぎた。生きているのに、生死は曖昧だ。「僕は本当に、生きているのだろうか?」「もちろんよ。ずっとわたしが見守っていてるんだから」枕元で微笑む少女。死神の彼女が保証するなら、生き延びていることに間違いはないだろう。

83)○天動:星の欠片を蒔きながら、天球の底を這いず大穴から逃れようと、駆け出した。一歩を蹴り出すたびに、輝く冷気が間近に迫る。地動説の信奉者は、あれを熱球だと誤解していたという。冷たい円環――太陽に魅了されながらも、黄道を渡りきる。星屑拾いは、命がけの美しい仕事だ。

84)●絶筆:「先生、あと一話。この傑作を完結させてください!」末期ガンの患者へ頼むには、酷だとわかっている。だが、闘病中に連載したこの小説が、間違いなく最高傑作だ。「それで大成功だよ。非才な私には、傑作モドキが精一杯さ」そう嗤って先生は絶命し、未完の傑作は完成した。

85)○新車:エコカーを買いにきたはずなのに、勧められた車は、希望と似てもにつかない。バットで殴りつけ、密林に半世紀放置したような醜悪さ。なのに、どうしてこんな不快な塊に惹きつけられるのか。ディーラーが笑む。「当然ですよ。これは、あなたの欲望を形にした車なのですから」

86)●ホウレンソウ:「結婚しないか?」元同僚の彼女は、俺に険しい視線を返す。「嫌だと言ったら?」「泣く」「泣くの?」「うん」「お腹の赤ちゃんはどうするのよ!」「それ、初耳なんですけど、泣くよ?」職場では腹立たしかった、ずさんなホウレンソウが、今は愛しくてたまらない。

87)○鎧装機巧テンペスタ:軍楽が鳴り響く戦場で、五機が潰された。敵機巧鎧は機動力で勝る。俺は二機に押されるように、河へ脚部を浸した。追撃の二機はしかし、漏水で精霊回路が短絡し、平衡を失う。先日まで、彼らの機巧鎧を駆っていたのだ。あらがう術は熟知している。鎚鉾で討つ。

88)●殺し文句:「あなたが、好きです」告げる彼女がまぶしくて、視線をそらす。「なぜ、僕なんかに告白するんだい?」卑屈だとわかっていても、そう聞かざるを得ない。「……愛に、理由なんて要らないのよ」そう微笑むと、僕が刺した女は血溜りの中で、幸せそうに生きることを止めた。

89)○遅延連絡:超満員の電車内で、耳を疑う。『車内での携帯電話の使用は、お控えください』一時間以上、駅間で停車したままのアナウンス。俺は非常コックでドアを細く開放し、飛び降りる。清々しい気分で携帯を広げ、自社に遅延を伝えた。いかなる時でも、乗車マナーは守らないとな。

90)●面識:コンビニ弁当を手に、駅へ向かっていた時。「おはようございます」スーツ姿の女性に挨拶された。怪訝そうな僕に、彼女は続ける。「暖めますか?」ああ、あのコンビニで、店員だった人だ。「はい、僕の人生を暖めてください」直後に彼女が浮かべた笑みを、僕は生涯忘れない。

Twitterで小説を:その71~80 #twnovel

創作のコツをつかみたい。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

71)●バカ発見器:その短文に、日本が震撼した。現職の総理大臣がツイッターで、「バカはしぬ」とつぶやいたのだ。本人? 誰が? 俺が? 自殺予告? さまざまな憶測が飛び交う。当人は釈明をしなかったが、支持率は増加に転じたそうだ。バカと思われたくないバカは、意外と多いな。

72)○狭間:「あなたは事故で死亡しました」「ここは死後の世界?」「そう捉えていただいて結構です」「これからどうなるのさ?」「現在、新しい肉体を培養中です」「治るんだね」「はい。現代の技術なら蘇生可能です」「それって、死んでないのでは?」「法律的に、あなたは死者です」

73)●忙中:年の瀬になっても、仕事に終わりが見えない。終電ギリギリの時刻に、メールが着信する。『ことしは、パパもサンタさんもいそがしいんだね。ぼくはへいきだけど、ママがさびしいって、しくしくないてるよ』『悪かった、二歳の息子にもよろしくお伝えください』と、妻に返信。

74)●誤表記:相応の購買を受けてもらおう。ネット通販サイトで、新品のパソコンが一万円だ。速攻で999台購入。もちろん、大半が中身のないディスプレイであることはわかっている。あの中にただひとつ在る、「世界の欠片」。誤表記の真価を知る者たちはすでに、争奪を開始している。

75)○除夜:場末の寺院に蓄積された、闇と対峙する。年末の人間たちは、存在定義がゆがむ。突キ、裂キ、除ク。突キ、裂キ、除ク。腐臭をまとった暗黒を神刀で斬り刻み、梵鐘で浄化する。刻む数は、ハンドレットエイト。除夜の鐘が高らかに凱歌を唄い、腐った夜は清浄な闇へと還った。

76)●肉欲:ボクの悩みを聞いて欲しい。もうすこし、ムネが要るのだ。ホラ、こんなふうに、両手で掴めるぐらいじゃ物足りない。もっと、両手からあふれるぐらいのボリュームを希望。むにむにと、塩、コショウをもみ込んだら最高だと思わない? ボク、鳥ムネ肉の調理には、こだわるよ。

77)○竜洞:穴蔵を抜けると、鮮烈な陽光に目がくらむ。細めた視界の先で、朝日に裏打ちされた巨塊がゆるりと首をもたげる。青年は震えながら、口元で火焔をちらつかせる古竜に、暦の石版を差し出した。十二年周期の盟主が委譲される。ウサギ族の青年はピクリと耳を弾き、息を吐いた。

78)●苗床:その庭園の惨状に、竜族の少女は息を飲んだ。植えられた苗は塩にやられ、火であぶられ、瓦礫の隙間からしおれた先端がのぞく。昨年、花を咲かせたものはごくわずか。少女は手にした数粒の種子を、祈るように苗床へ蒔く。今年は、希望の種がたくさんの花を咲かせますように。

79)○都市鉱山:相棒が、コンクリートの壁を破砕する。「昔は、電子機器に使われた貴金属の総量が鉱山なみだから、都市鉱山って言ったんだぜ」「らしいな」俺は石壁の奥に貼りついた、ナノマシンの分泌物を回収する。廃棄都市で産出される、貴金属を含むゲロ。これが現代の都市鉱山だ。

80)●ステマ:「このRPG、キャラデザは有名漫画家、シナリオは人気ラノベ作家、音楽は大御所の作曲家。もう買うっきゃないぜ!」「それってステマ、ステルスマーケティングってやつだろ?」「うん。実は、このソフトの評判を落とすために、ステマ疑惑を起こすステマをやってるんだ」