『電子徴兵』Twitterで小説を:その171~180 #twnovel

質は良くなってきたので、生産性を高めたい。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

171)●絶滅要因:「生命の大量絶滅は、過去に何度も発生しています。では、もっとも最近発生した大量絶滅の原因は?」「はい、巨大隕石の落下です」「それは前々回、恐竜絶滅の原因と言われています。わかりませんか? それでは次回までに、前世人類が絶滅した理由を調べてくるように」

172)●塔頂:一般には知られていないが、その塔には頂上直通の、専用エレベーターが設けられている。第二展望台を通過し、第一展望台を抜け、塔の頂上を越えてもなお、エレベーターは止まらない。大地が円弧を描く、宇宙と呼べる高みの先に、全権大使としての私の交渉相手が待っている。

173)●感知猫:「ウチの猫は、地震が起こる前に避難するんだぜ」「すごい、野生のチカラだね」そう言ってるそばで、くだんの猫が居間から飛び出し、猛ダッシュでテーブルの下に飛び込む。直後に軽い揺れ。「な、本当だろ?」「……すごいけどさ、あれって緊急地震速報のチカラだよね?」

174)●喫煙所:「火、お借りできます?」「すいません、タバコは吸わないもので」「持っている方、いらっしゃいますか?」「ここにはいないと思いますよ」「そうですか。失礼ですが、あなたはなぜ、この場所に?」「除霊ですよ。喫煙所で火を貸すと、霊に取り殺されてしまう廃ビルのね」

175)○スロウパンク:王の道を穿ち、斜塔が出現した。「これは棘のようなもの。放置すれば千年のち、無理に除けば即、災いとなるだろう」占術師は忠告したが、王の怒りを畏れた巡察官は破壊を命じる。果たせるかな、基部を砕くと多量の星気が噴出し、王の星は王もろともに裂けて散った。

176)○マフラー:アクセルを沈めると、野太く官能的なサウンドが吹き上がる。途端に、愛車が強大なトルクで加速した。だが、さらに踏み込むと不意に爆音が途切れ、風切音とともに加速だけが継続される。故障かよ。せっかく新型の音響マフラーをつけたのに、これだから電気自動車は……。

177)○電子徴兵:召集令状が来た。徴兵センターで個人情報を登録する。僕の分身が兵士となって、仮想世界で参戦するのだ。数ヶ月後、僕の元に、僕の戦死通知が届いた。「そうですか……」何の感慨もなくつぶやくと、通知を手渡した兵士が拳銃を向ける。僕と同じ顔が、憎悪に歪んでいた。

178)●the Movie:『映画泥棒 the Movie』という、スマートフォンアプリに惹かれる。元から映画だろとツッコミながら起動すると、中身はよくある絵合わせパズル。それが、アドレス帳を勝手に転送する違法アプリと知って、僕は叫んだ。「NO MORE 情報泥棒!」

179)○死への道:誰にも迷惑をかけずに、死のうと思う。自殺は怖ろしい。死刑になるための殺人など論外。仕方なくまじめに働き、結婚してささやかな家庭を築く。子供が生まれ、孫が出来、老いて死の床に就いた。みなが泣いている。結局は迷惑をかけてしまったが、気分は意外と悪くない。

180)●大事な彼女:私の彼は、暇さえあればパソコンをカタカタやっている。「私と、どちらが大事なの?」「ごめん、もう止めるよ。おやすみ」彼は名残惜しそうに、パソコンを終了させる。私も寝よう。白む意識の片隅で、理解不能な声音が響く。『ヤハリ、人工知能ダト認識サセルベキカ』

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