『婚前交渉』Twitterで小説を:その101~110 #twnovel

まだまだ努力だなあ。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

101)○街撮り:被害者は死亡する前日、ソーシャルサイトへ二十四枚の写真をアップロードしていた。「問題は写真の撮影位置情報です」青年は端末を操り、撮影場所を市街地の地図上に印し、結線する。浮かんだ文字列は『KILL ME』。「このメッセージを読み取った何者かの犯行です」

102)●婚前交渉:君と結婚する前に、決めておきたいことね……そうだな。もし、僕らの関係が破綻したら、以前に貸したゲームソフトをどうするか? できれば返して欲しい。プレミアがついてるからさ……って、なんで怒ってるの? 婚前交渉するんだろ? え? そういう意味じゃないの?

103)○燃費競争:「これがハイブリッド車か。燃費はどう?」「適当に走っても、リッター二〇キロ以上でるね」「すごいな……にしてもずいぶん飛ばすんだな」「ちょっとしたゲームさ」「どれだけエコドライブができるかって奴?」「いや、その逆。どれだけ燃費を落とせるかに挑戦してる」

104)●赤いミミズ:釣りへ出かける直前に、息子が騒ぐ。「赤いミミズはイヤだよぅ!」「ミミズ? エサならパパがつけてやるから」何とかなだめすかし、車で出発したが、大渋滞に捕まってしまう。「赤いミミズだ!」息子が指さす先はカーナビ。渋滞を示す赤線で、びっしり埋まっていた。

105)○超銭湯:近所の銭湯がリニューアルしたと聞く。レトロな番台と脱衣所を抜けると、ペンキ絵の富士山と大きな浴槽があるだけだ。何が変わったんだ? だが、奥の階段を下ると、ジェットバスや各種露天風呂、岩盤浴場にサウナまで揃ってる。銭湯に偽装した、スーパー銭湯だったのだ。

106)●食育論:「たとえば、画期的な食品が開発されたとするよ? ものすごく美味しいんだけど、中にゴミが混じっていたら? 絶対に、受け入れられないと思うんだ。つまりコレは、既得権に守られたゴミ入り不完全食品だから……」「わかったから、さっさと焼き魚、食べちゃいなさい!」

107)○高額査定:「本当に、この値段ですか?」車の査定を依頼すると、新車並の値段を提示された。ボロ車に、こんな高値がつくはずがない。「あなたには、その価値があります」微笑む店主に危機感を抱き、私は宿主を逃走させた。奴は、私が運転者を操る車であることに気づいているのか。

108)●同好会:異星人が、地球を絶賛侵略中。「協力者になって欲しいの」俺を拉致した、異星の少女は願う。「断る」「この星を守ることになるのに?」「あんたらが侵略者だろう?」「それは侵略クラブ。私たちは侵略同好会よ」「学校活動かよ!」異星でも、同好会は予算が厳しいらしい。

109)○忘却:最近、マンガ読めなくなった。小説は、とっくの昔に読めなくなっている。「では、これを飲んでください」医者が処方してくれた、娯楽の記憶を消去する薬を服用する。マンガも小説も、新鮮で面白い。もっと早く飲のんでおけば……あれ? 以前にも、同じことがあったような。

110)○盗電:「まただよ……」駐車場に停めた、電気自動車への充電ができない。原因は使用量の超過。無茶な充電はしていないはずだ。夜、車の中で見張っていると、不意に電源が入る。外には無灯火の車が群れており、次々とフロントバンパーを接触させて行く。乗っているのはマネキンだ。

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