小説は難しいな。
140文字以内でつぶやくTwitterで毎日、小説を書いている。過去ログが流れてしまったので、ブログに転載しておきます。
1)■隕石落下:巨大隕石が地球に衝突する。現代文明を維持できないほどの被害が出るそうだ。その隕石が、私の頭上を火炎を曳いて横断し、海に吸い込まれた。閃光と爆発。凄い光景に遭遇したのに、自慢できないのは残念だ。自殺は、もう少し待つべきだったな。
2)■スマート本番:時流に乗って、スマートフォンへ機種変更。仕事や趣味を効率化するツールを手当たり次第に投入した。出先でも大概の作業ができるようになったが、使用中に着信するとデータ通信が切れるので、通話専用の携帯を追加契約。これは本当にスマートなのだろうか?
3)■最高の魔法使い:彼は魔法使い。科学では再現不可能な奇跡を次々と実演して見せたが、周囲の人々からはトリックであると冷笑された。我慢の限界を超えた彼は、手にした小瓶を割って、生涯最高の魔法を破壊した。その小瓶の中には、「魔法が使えない世界」が封入されていた。
4)■ようこそ過去へ:過去への扉を見つけた僕は、卒業式の日、僕へ熱い視線を送っていたあの娘の所へ旅立つ。過去へ戻った今度の僕は、道路の向かいでもじもじしている彼女に、大きく一歩を踏み出した。それが最後。彼女はこう言いたかったのだ。「車が来てるから危ないよ」と。
5)■ゴッド・ゲーマー:私は仕事そっちのけで、ゲームばかりしている。最近はじめたのは、主人公が超能力で世界を破壊するゲーム。地球をまるごと消滅させられる爽快感はかなりのもの。仕事もこれぐらい好き勝手できれば良いのだが。ちなみに私は一般的に「神」と呼ばれている。
6)■最強のパスワード:大企業のシステム管理者が急逝。彼の残した端末を開きたいが、パスワードがわからない。後任はあらゆる文字列を試すが、すべて弾かれる。しかし、新人が端末を操作すると、一発で認証を突破してしまう。正解は、何も入力せずに決定キーを押すことだった。
7)■整形彼女:彼女が美容整形をしてると知り、俺は狼狽した。気にしないよとその場では言い繕ったが、予想外の精神的ダメージ。辛い告白をした後も、彼女は俺だけに微笑んでくれる。そんな彼女を見るのが辛い。それにしても、ゲームのヒロインが整形美女とは、斬新な設定だな。
8)■残されたゲーム:同僚が失踪した。ゲームソフトを借りたままだったので起動すると、セーブデータが残っていた。ラスボスの直前、中途半端な強さで街に戻れない状態。これをクリアしたら、同僚が戻って来るような気がしたが、やめた。土の下から、這い出られても困るしな。
9)■地震大作戦:その装置は地殻のひずみに干渉し、意図したタイミングで地震を発生させられる。私は装置の設計者だが、今は追われる身だ。その栄えある汚名に殉じよう。 三月の起動テストで起こったあの地震が、研究費欲しさにでっち上げた装置とは無関係であったとしても、だ。
10)■死せる二十一世紀:「死後の世界とは何か? 我々の住む二十一世紀こそ、二十世紀末の全面核戦争で没した人々が生み出した幻想世界なのだ!」そう力説する男が逮捕され、核戦争後の荒廃した世界に送らた。為政者にとって、どちらの世界が本物かなど、どうでもよかったのだ。