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1958年版映画『無法松の一生』不遇の高性能車夫

暴れん坊さんにょ!

人力車がマイブーム。小説に続いて、1958年版の映画『無法松の一生』をDVDにて視聴。最初に映画化化された1943年版のモノクロ映画は、戦時下ということもあり検閲されたカット版だったのに対し、カラーの1958年版は問題とされたラストもバッチリ映像化。

世が世なら大成したかも知れない未完の大器、車夫の松五郎が縦横無尽に活躍する。クライマックスの太鼓打ちのシーンは、原作の迫力を余すところなく映像化。人力車の車輪を、時の流れに仮託した描写も秀逸です。豪放で実直。足が速く、喧嘩が強い。伝統の秘太鼓も継承と、無学ながらもこれだけ高性能なら、事業でもはじめて吉岡の未亡人と釣り合う社会的地位に成り上がればよかったんじゃない? などと思うのは、無粋でしょうか? ハイ、無粋ですね。

流れ打て!『無法松の一生』を読んだ

必殺、流れ勇み駒暴れ打ち!

人力車がマイブーム。マンパワーに依存したローテク輸送機関ですが、そこがいい。そして日本で一番有名な車夫といえば、岩下俊作著『無法松の一生』に登場する、無法松こと富島松五郎。人力車にこだわるなら、この作品は外せないので、小説を読んでみた。ネタバレ注意。

福島県小倉で、「無法の松」として知られる車夫、松五郎と、未亡人となった軍人の妻と、その息子との交流を描く。モノクロ映画を観たことがあるので、大筋は知ってましたが、原作小説は流麗な筆致で松五郎の生涯を描く、荒々しくも純朴な作品でした。

物語は大変よろしいのですが、肝心の人力車はあまり活躍しない。車夫という下層階級の主人公が、軍人の妻子という上流階級の人々に、ほのかな想いを寄せるというテーマが主眼。むしろ人力車より、祭りで太鼓を叩くシーンのほうが印象的。やっぱり車夫というだけでは、インパクトに欠けるのかな。