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【ネタバレ注意】モノトーンのディストピア『ブレードランナー2049』を観た

生きる意味を探し、死ぬ意味を見つける、人ならざる者たちの物語。

『ブレードランナー』という映画は、自分にとって特別な作品のひとつ。過去に何度も見返しているし、これからも見返すと思う。闇に濡れた大都会で、はかなくも激しく生きようとする人造人間たちの物語は、時代が物語の舞台である2019年になろうとも色褪せることはない。そんな作品の続編が、2017年に公開されるとなれば、傑作だろうと駄作だろうと観ないワケにはいきません。

35年ぶりの続編『ブレードランナー2049』を立川シネマ・ツーの極上爆音上映にて鑑賞。前日に『ブレードランナー ファイナルカット』と2049にリンクした3本のショートムービーを鑑賞して、事前準備はバッチリ。脳内でヴァンゲリスの伴劇を鳴り響かせながら、仕事帰りに立川へ。映画館ちかくのジョナサンで夕食を摂り、じっくりとブレラン気分を盛り上げる。心身ともにベストな状態で2049をむかえました。

前作から30年後、2049年が舞台。大停電によって過去の記録が消去された世界。人造人間レプリカントであるKが、ブレードランナーとして逃亡したレプリカントを解任(処分)していくうちに、30年前に逃亡した前作の主人公、デッカードと自身にまつわる秘密にせまっていく。前作の陰々滅々とした世界観がさらにパワーアップ。乾燥してモノトーンなシーンが多く、目新しい表現も随所にみられる。前作ファンを楽しませるネタも散見されますが、ぶっちゃけ前作と3本のショートムービーを観ていないとよくわからないと思う。いや、予習したはずの僕でも理解しきれない部分があった。ウィキペディアのネタバレ解説を読んで、なるほどと思ったり。

前作が「生きるために戦い、死ぬために狩る、人ならざる者たちの物語」だとすると、本作は「生きる意味を探し、死ぬ意味を見つける、人ならざる者たちの物語」といったところか。ただ、2049でテーマとなっている新たなる命の存在が、どれほどすごいのかが作中の説明だけではよくわからないので、終盤の展開はピンとこなかった。メカはカッコイイ。音楽は前作ふうの曲調だけど、前作のメインテーマが流れないので、あまりブレードランナーっぽい印象はなく、耳にも残らなかった。前作の続編にはなっているけど、前作が20世紀に与えたインパクト以上のものを21世紀に与えられたかは微妙というのが、初見の評価です。あと何度か観れば、評価は変わるかも。

ふたつじゃ不十分『ブレードランナー』ワークプリントを観る

ふたつで十分なのは魚だったのか!

映画『ブレードランナー 製作30周年記念 コレクターズBOX』を購入。近未来のロサンゼルスを舞台に、脱走した人造人間レプリカントと、それを追うブレードランナーこと主人公デッカードの対決を描く。猥雑とした街並みや、美麗なメカニズムが、後世に多大な影響を与えたSF作品。複数のバージョンが存在し、コレクターズBOXはすべてを網羅するのですが、今回は『ブレードランナー』ワークプリントを観る。

ワークプリントというのは、劇場公開前に一部の人に観てもらい、リサーチするためのバージョン。劇場公開されたものとは微妙に違ってる。オープニングが簡素だったり、最初の劇場公開版にある主人公のナレーションがほとんどなかったり、ラストの逃避シーンがなかったり。むしろ、後に公開されたバージョンに近い内容。当時は説明不足とされたみたいだけど、今観るとこれで十分。屋台の親父が発する謎セリフ「ふたつで十分ですよ」の正体が、丼に盛られた魚2匹のことだと判明。

おおむね違和感はないのですが、クライマックスで主人公がレプリカントに追われるシーンで流れる曲には違和感があった。サスペンス調で、なんか刑事ドラマのクライマックス風で、たしかに主人公は刑事の一種かもしれないけど、ここだけは悲壮だけど荘厳さがある劇場版の曲のほうがベストマッチ。そして、ラストのヴァンゲリスによるテーマ曲がないのもガッカリポイント。

テスト版だけに荒削りな部分はあるけど、未見のカットが観られて満足です。

映画『ブレードランナー 最終版』で、目を皿のように

ふたつで十分? いやいや、お次は究極版ですね!

リドリー・スコット監督の近未来SF映画『ブレードランナー 最終版』を、WOWOW録画にて鑑賞。陰鬱な、2019年のロサンゼルスを舞台に、脱走した人造人間レプリカントと、それを追うブレードランナー、デッカードとの攻防をハードボイルドタッチで描く。最初に観たのは学生の頃にレンタルビデオのVHSでしたが、今回はデジタルリマスター版をハイビジョン録画で観た。2019年って、なにげにあと10年後なんだな!

何度も観た映画なので、ストーリーはわかりきってる。にもかかわらず、必死こいて観てしまったのは、画面がクリアなこと。VHS+ブラウン管から、デジタルリマスター版+ハイビジョン液晶テレビへグレードアップしたおかげで、いままで潰れていた細部がくっきりと視認できる。デッカードの胸毛から、モブキャラの衣装、看板や落書きまで、隅々まで神経が行き届いていることに感激。

いつ観ても、デッカードの弱キャラっぷりは最高です。