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『半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義』を読む

そういう考えでアレなのか……。

文春ジブリ文庫『半藤一利と宮崎駿の 腰ぬけ愛国談義』を読む。アニメ映画『風立ちぬ』をテーマとした対談集。半藤氏が『風立ちぬ』を観る前と後で対談されているので、同じように、観る前に前半、観た後に後半を読むのも面白いかも。宮崎氏が半藤氏を敬愛しているとのことで、お二人の思考のベクトルが似ており、異なる意見のぶつかり合いではなく、異なる知識のぶつかり合いレベルで収まっているのは、ちょっと物足りないです。『風立ちぬ』を観て、すっきりしなかった部分が、本書を読んで、いくらか氷塊しました。それだけで収穫アリです。

映画『借りぐらしのアリエッティ』:借りは返せ、意地でも返せ!

ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』を鑑賞。ネタバレ(?)注意。

「借りぐらし」──それは、人類と密かに共存する小型人類、小人たちに伝わる風習。小人たちは、宿主となる家から、さまざまな物資を拝借して生活しているが、貨幣という価値観を持たない彼らは、その対価として宿主の家を守護する。その守護範囲は、害虫の駆除や、清掃といった雑務にとどまらず、時には泥棒を撃退したり、経済的な困窮からも救うことで借りを返す。「借り暮らし」とはある意味、金銭的な対価を支払うよりも困難かつ高潔な生活様式なのだ。一部の人類は、小人たちの存在を認識しているが、「借りぐらし」のメリットを優先して互いに干渉しないことが不文律となっている。

ヒロインの小人、アリエッティは人間の少年、翔(しょう)に姿を見られたことがきっかけで、交流するようになる。心臓の弱い翔は手術を控えており、その手術を確実に成功させることがアリエッティとその両親である、小人たちの「借りぐらし」の代償となるはずだった。しかし、ふたりが知り合ったことで人間と小人の相互不可侵関係が破れ、小人たち一家は借りを返す前に翔の家を引き払うこととなってしまう。翔を見捨てる形になってしまったアリエッティは苦悩する。手術の成功率は1割にも満たないのだ。その上、借りを残したまま家を引き払う準備をはじめたことを察した家政婦が激怒し、ネズミ駆除業者を呼ぶなど状況は悪化の一途をたどる。果たして翔の手術は成功するのか? アリエッティたちは安住の地を見つけられるのか? 物語はせつないクライマックスへと向かって行く……。

──という話だったらマシになるのでは、と思いつつ泥棒小人たちのサバイバル生活と逃避行を鑑賞。アリエッティのキュートさは、必見。