「感想」カテゴリーアーカイブ

ちょっくら『Cut』を買ってみた

そうか、ジブリ的には大成功なのか……。

『借りぐらしのアリエッティ』が表紙の雑誌、『Cut(カット)』9月号を買ってみた。

大人向けアニメ雑誌なのかなと思ったら、「米、英、日を中心に世界中のセレブリティたちのインタビュー記事を掲載するカルチャー&エンターテイメント・マガジン」なんだそうな。宮崎駿さんのロングインタビューや『カラフル』の記事もあり、今月の僕にはぴったりの雑誌でした。

アニメ映画『カラフル』すぎて損はない

カラフルでOK!

アニメ映画『カラフル』を劇場で鑑賞。罪を犯して死んだ主人公が、「修行」と称して現世に復活し、自殺した中学生の少年に宿って新たな生活を送る。生前の少年は、周囲にさまざまな悩みを抱えており、成り代わった主人公も同様の問題に立ちむかう。美麗な情景に魅了されつつも、不倫、援助交際とったディープな問題を、コミカルかつさわやかに描く。主人公は何者なのか、罪とは何なのかがキーになってくるのですが、そこは観てのお楽しみ。

ちょっぴり、生きることが素敵に思えてくる、人間賛歌の物語です。

『総員玉砕せよ!』ネバーギブアップの末路

悲劇と喜劇が表裏一体となった玉砕のドラマです。

水木しげる著『総員玉砕せよ!』を読む。ちょうど、朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で語られている、戦争体験を元にした長編マンガ。妖怪マンガが有名な水木先生ですが、実体験があるだけに、戦記マンガも迫力がある。太平洋戦争末期、南太平洋のニューブリテン島にて、追い詰められた日本軍が2度のバンザイ突撃の末に玉砕する様を描く、実話に脚色を加えた作品です。数ヶ月後には敗戦が確定するというのに、無駄に命を散らすこともなかろうにと、結果論では言えますが、当時の状況では、そうも言っていられない。かと思えば、下っ端の兵隊は不足しがちな食料を調達すべく、芋を掘ったり、バナナを取って盗られないよう地面に埋めたりと、たくましく生きている……かと思いきや、ワニに食べられたり、魚を喉に詰まらせたりと、戦闘以外の理由で命を落としたり。悲劇と喜劇が表裏一体となった玉砕のドラマです。ネバーギブアップ精神だけで勝つ気のない、死ぬ気満々の指揮官だけは勘弁な。

もしiPod touchで『もしドラ』を読んだら、危険

なまじ面白いだけに、危険をはらんだエンターテイメントです。

iPod touchで電子書籍版『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を読む。本屋で平積みされてて、前から気になってたのだが、電子書籍版があると聞き、購入してみた。タイトル通り、高校野球部の女子マネージャーが、経営学の名著ドラッカーの『マネジメント』を参考に、部の甲子園出場をマネジメントする物語。ライトノベル調のフォーマットで、経営学を学べるエンターテイメント。ドラッカーに私淑することで弱小野球部を改革していく主人公の活躍には、手に汗握るものがある。読み終わると、思わず原典である『マネジメント』を手に取りたくなる絶妙な造りです。

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だがちょっと待て……これがフィクションであることを差し引いても、話が上手すぎやしないか? あらゆる問題を、『マネジメント』という聖典に従うことで解決しているように見えるけれども、才能を秘めながら、能力を発揮できずにくすぶっている人材が周囲にいて、怪我や不祥事といった想定外のトラブルも起こらず、用意された不和や不幸が、主人公の活躍を際立たせるためだけに存在する。物語に引きこまれつつつも、この周到に計算された展開に危険を感じたのも事実です。さながら、美味い料理を造ればすべての問題が解決する『美味しんぼ』のように。いや、終盤の「不幸」でご都合主義的な成功談を否定してみせるだけ、より巧妙な手口といえる。なまじ面白いだけに、ドラッカーへの盲信を産む危険をはらんだエンターテイメントです。

ちなみに、電子書籍版は書籍版の半額と安く、読みやすかった。唯一の難点は、紙の本とちがって読み終わってから、友達に貸すのが難しいコトぐらいかな。

『ゲゲゲの女房』の原案自伝を読んだ

武良布枝(むら ぬのえ)著、『ゲゲゲの女房』を読む。

同名の、朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の原案。妖怪マンガで有名な水木しげるの妻としての視点から、半生を描いた自伝です。原作ではなく原案というのがミソで、書かれていることは断片的で、正直、テレビドラマほどは洗練されていません。しかし、貸本マンガ時代から、苦しいながらも楽しく暮らしてきた夫婦の息遣いが、行間から漏れ聞こえてくる感じ。こういう人生が送れたら素敵でしょう。

脚色されたテレビドラマ版『ゲゲゲの女房』の元ネタを紐解く、副読本としてもおすすめです。

東静岡駅前で建造中のガンダムを見た

足並みすらそろってないけどな!

静岡に出かける機会があったので、用事をすませてから向かうのは、東静岡駅前。昨年、お台場に展示されていた実物大ガンダムが、移設中なのです。移設場所は北口側。最初、南口側へ行ってしまい、見つからずに駅前をウロウロしてしまいました。

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まだ、両脚を並べている最中ですが、それでも僕以外に見物にきている人がいました。今回のバージョンは右手にビームサーベルを装備しているそうです。また静岡に来る機会があったら、再訪しようと思います。

『地球防衛軍』嫁探しの侵略宇宙人

宇宙でも嫁不足は深刻です。

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.10で、1956年の映画『地球防衛軍』を観た。ネタバレ注意。かつて火星と木星の間に存在した遊星「ミステロイド」の生き残り、ミステリアンが富士山麓を占拠。半径3キロの土地と、地球人女性との結婚を要求してきた! 圧倒的な科学力を持つ割には謙虚な要求ですが、地球側は断固拒否。人類は地球防衛軍を結成し、ミステリアンと全面対決する。

いつの間にか地球防衛軍が結成されているあたりが駆け足気味ながら、宇宙人を単なる侵略者ではなく、移住を希望する異民族と描いている所が面白い。うまく交渉すれば、土地や嫁の提供と引き換えに、技術供与を要求することもできたのでは。腕力一辺倒の地球人は、野蛮だなあ。

メカ描写では、巨大飛行艇のα号、β号や、自走式熱線反射器のマーカライト・ファープといった、オーバーテクノロジー気味の決戦兵器が登場。開発経緯をすっとばしているので、唐突感は否めないものの、デザインはカッコイイです。

地球人と宇宙人の異文化交流、技術交流といった部分が物足りなく感じたものの、迫力の特撮バトルを堪能しました。ちなみに、日本公開時の同時上映は『サザエさんの青春』、アメリカ公開時のタイトルは『The Mysterians』だそうです。

『駱駝祥子』車夫すら続けられない車夫

よくてもだめ、わるくてもだめ、この家業の行きつく先は死あるのみ。

老舎著『駱駝祥子(らくだのシアンツ)』を読んだ。ネタバレ注意。中国、北平(北京)を舞台に、無学だが頑強で実直な青年、祥子(シアンツ)が、人力車の車夫として苦闘する物語。祥子は賃貸しの人力車を引きながら金をため、自分の俥を買う。だが、軍隊に強制連行され、俥を失う。駱駝3頭を奪って軍を脱走し、売った駱駝を元手にふたたび俥を買おうと働きはじめるが、そこから彼の転落人生がはじまる。

車夫が主人公の作品としては、『無法松の一生』が有名ですが、車夫の生活については『駱駝祥子』のほうが詳しい。無法松の松五郎が、高潔なまま車夫として散るのに対し、駱駝の祥子は、現実に打ちのめされ、おめおめと生きつづけていく。祥子の末路を見るにつけ、不運だったとも思えるし、もうちょっと上手く立ちまわればよかったのではとも思える。ここらへんのバランスが絶妙で、最低ランクの車夫すら続けられなくなる祥子の姿には説得力があります。

志を砕かれ、堕落する主人公。身につまされる物語だなあ。

1958年版映画『無法松の一生』不遇の高性能車夫

暴れん坊さんにょ!

人力車がマイブーム。小説に続いて、1958年版の映画『無法松の一生』をDVDにて視聴。最初に映画化化された1943年版のモノクロ映画は、戦時下ということもあり検閲されたカット版だったのに対し、カラーの1958年版は問題とされたラストもバッチリ映像化。

世が世なら大成したかも知れない未完の大器、車夫の松五郎が縦横無尽に活躍する。クライマックスの太鼓打ちのシーンは、原作の迫力を余すところなく映像化。人力車の車輪を、時の流れに仮託した描写も秀逸です。豪放で実直。足が速く、喧嘩が強い。伝統の秘太鼓も継承と、無学ながらもこれだけ高性能なら、事業でもはじめて吉岡の未亡人と釣り合う社会的地位に成り上がればよかったんじゃない? などと思うのは、無粋でしょうか? ハイ、無粋ですね。