「感想」カテゴリーアーカイブ

流れ打て!『無法松の一生』を読んだ

必殺、流れ勇み駒暴れ打ち!

人力車がマイブーム。マンパワーに依存したローテク輸送機関ですが、そこがいい。そして日本で一番有名な車夫といえば、岩下俊作著『無法松の一生』に登場する、無法松こと富島松五郎。人力車にこだわるなら、この作品は外せないので、小説を読んでみた。ネタバレ注意。

福島県小倉で、「無法の松」として知られる車夫、松五郎と、未亡人となった軍人の妻と、その息子との交流を描く。モノクロ映画を観たことがあるので、大筋は知ってましたが、原作小説は流麗な筆致で松五郎の生涯を描く、荒々しくも純朴な作品でした。

物語は大変よろしいのですが、肝心の人力車はあまり活躍しない。車夫という下層階級の主人公が、軍人の妻子という上流階級の人々に、ほのかな想いを寄せるというテーマが主眼。むしろ人力車より、祭りで太鼓を叩くシーンのほうが印象的。やっぱり車夫というだけでは、インパクトに欠けるのかな。

2年越しのクリア『英雄伝説 空の軌跡FC』

何年かけてんだヨ!

RPG『英雄伝説 空の軌跡FC』のPSP版をクリア。ゲームを購入したのが2007年10月19日で、そのころからプレイしているので、実に2年以上もかかったことになる。もちろん、間に別なゲームをプレイしていたわけだけど、PSPには常にこのソフトが入っており、思いだしたように進めてた。積みゲーはしない主義なので、クリアできてヤレヤレです。

ゲームの感想としては……まったく終わってないよ。むしろ、新たなるプロローグだよという展開。続きは『空の軌跡SC』をやってねというコトらしい。お話は面白いと思うし、続きも気になるのだが、街の探索やら戦闘やらが冗長で、サクサクプレイできないのが辛かった。あまりゲームに時間を割けないので、続きは機会があったらということで。

ゲームをクリアしてから、クリアデータで2週目を開始して、2年ぶりにオープニングとプロローグを見たら、映像の意味が理解できてちょっと感動したよ。

ディープな散策『人力車が案内する鎌倉』

転倒防止ストッパー無しが、本格派の証。

青木 登著『人力車が案内する鎌倉』を読んだ。現役の人力俥夫、「有風亭」の青木氏による鎌倉案内。本書は2部構成になっており、1部は人力俥の歴史と、有風亭が鎌倉で観光人力俥の営業を開始(1984年)してから現在(2003年)までの足跡。2部は人力俥による鎌倉観光の口上を文章化したもの。

人力俥というと、鎌倉駅前の二の鳥居付近に何台か客待ちをしているのは知ってましたが、乗ったことはなかった。大別すると、人力俥夫には、企業、個人、趣味人の3種類の方がいるそうです。著者は個人で営業されている。鎌倉での営業開始直後は客足が伸びず、苦労されたそうですが、地域に密着した地道な営業と、結婚式場の送迎を専属業務とできたことで収入が安定。その後、鎌倉に大手企業が参入して苦戦しつつも、現在にいたる。

基本は押さえつつも、観光ガイドに載っている以上のディープな知識が得られる良書です。

──と、結論を述べただけではツマラナイので、本書に載っている場所を、裏駅(鎌倉駅西口)周辺を中心に、何カ所か訪れてみた。鎌倉在住なので、ちょっと歩けば行ける場所なのです。

P1070772

扇ヶ矢にある洋館、古我邸(P181)。鎌倉の歴史的建造物。

P1070778 P1070777

寿福寺(P175)。北条政子が建立した寺。

P1070783 P1070787

P1070788 P1070802

P1070813 P1070789

海蔵寺(P177)。紅葉の名所だそうですが、みんな散ってました。

P1070790 P1070794

海蔵寺内にある、「鎌倉十井」のひとつ、「十六の井(P178)」。岩をくりぬいた中に、16個の井戸がならんでます。ここは別料金で100円。

P1070799 P1070797

「鎌倉十井」のひとつ、「底抜の井(P178)」。尼さんが、桶の底が抜けた拍子に、うっかり悟りを拓いてしまったのが由来だそうです。

P1070819

旧川喜多邸(P150)。いずれは映画記念館になると紹介されていますが、2010年1月現在、その工事が進められていました。

P1070828

日蓮上人辻説法跡(P155)。日蓮上人が南無妙法蓮華教の布教活動をした場所。若宮大路の東側に平行して走る細い道に、「小町大路通り」だの「日蓮辻説法通り」だのと大仰な名前がついているとは知らなかった。

P1070834 P1070835

大巧寺(P198)。安産祈願の寺で、花の名所。境内を抜けると、若宮大路と小町大路通を移動できます。

鎌倉に住んでいるので、個々の場所は知っているのですが、そこにまつわる知識が加味されると、散策がより楽しくなる。2003年の情報なので、閉鎖してしまった場所もありますが、それを確かめるのも一興。そのうち、観光人力俥にも乗ってみたいですな。

デストロイな初代『ゴジラ』を観た

次のカタカナを漢字に直せ→ゴジラ(5点)。

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.1で、1954年の映画『ゴジラ』を観た。ネタバレ注意。大戸島の伝承にある怪獣「呉爾羅」が、核実験の余波で復活し、東京を襲撃したからさあ大変。「生物学的に貴重でも、害獣である以上は駆除しなければならない」や、「ゴジラを倒しうる新兵器が、あらたな戦争の火種になるのではないか」、などのジレンマがちゃんと描かれている。被爆体験をふくめた戦争再来の恐怖が具象化した存在こそが、ゴジラなのです。

シリーズ物の第1作は、あれこれ試行錯誤がうかがえて面白い。水戸黄門だって、初期シリーズは印籠をだすタイミングや所作が確定しておらず、安心して観られないところが素敵。ゴジラも、第1作は定期的に日本を襲撃する巨大生物というフォーマットが存在しないところから生み出されているので、ゴジラの暴れっぷりも、人々の逃げ惑いっぷりも、新鮮さがある。登場する乗用車やバス、ヘリコプターといった実在のメカが、古くさいを通りこしてビンテージの域に達しているのも見物です。

モノクロ映画時代の作品なので、特撮はチープだし、迎撃作戦にもツッコミ所はあるのですが、登場人物たちの想いがコンパクトながらも書き分けられていて、大人の鑑賞に耐えるドラマになっています。

冷たいドリル『海底軍艦』を観た

地に潜り、空も飛ぶよ!

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.4で、1963年の映画『海底軍艦』を観た。ネタバレ注意。地上征服をもくろむ「ムウ帝国」と、旧日本軍の残党が極秘に開発した海底軍艦が激突する。本作で有名なのは、何と言っても海底軍艦「轟天号」。ドリルのついた戦艦が空を飛ぶという、男子のロマンが詰まった素敵メカ。主力兵器は、何でも絶対零度に凍結させる冷線砲。海底軍艦という名前以上に、陸海空を自在に駆ける万能戦艦です。

先日鑑賞した1973年版『日本沈没』は、特撮に経年劣化を感じさせるものの、骨太なストーリーで楽しめたので、『海底軍艦』も期待していたのだが、こちらは子供のころは面白くても、大人になって見返すと「アレレ?」となる感じ。大日本帝国復興を企図して建造された「轟天号」が、世界帝国たる「ムウ帝国」の凶行を阻止するため、いわば毒をもって毒を制す形で世界の危機を救うところや、怪竜マンダとの死闘、恋や親子の確執と言った、面白くなりそうな要素が、軽く流されているのはもったいないと思った。尺の都合か、拉致国家であるはずの「ムウ帝国」女帝が、あまりにも簡単に拉致られたのには、参った。とにかく轟天号がカッコイイので、その勇士を見る価値はありますけど、それ以外が物足りない感じ。

ドリルの先端が、回転時に前後へピストン運動しているのが、萌えポイントです。

装甲機関車の冒険『ゼルダの伝説 大地の汽笛』をクリア

また喰らった、ムキー!

Nintendo DS『ゼルダの伝説 大地の汽笛』をクリア。ネタバレ注意。鉄道網が完備されたファンタジー世界で、リンクによく似た兵士のコスプレをした機関士が、お姫様の魂といっしょに世界の危機に立ちむかう。ゼルダ姫が物語に絡むことは以前もあったけど、魂とはいえ、姫として常に帯同しているのは今回がはじめて。アグレッシブな姫様っぷりが、とにかくキュート。この娘のために、がんばっちゃおうという気にさせてくれます。

汽車に乗ってマップを移動し、各地のダンジョンをクリアすることで線路を拡張し、ラスボスへの道を拓く。乗物が汽車である以外は、いつも通りの展開。機関車には、大砲と客車、貨物車が連結されており、戦闘も、旅客も、通運もこなせます。移動の他に、客を乗せたり物を運んだりといったミッションがあり、運ぶ対象によって運転で気をつけるポイントが異なるのが面白い。前作同様、乗物はカスタマイズ可能。僕のお気に入りは、「ドクロのマシン」、「たこキャノン」、「エレキカー」、「フローター」のセット。オレンジを基調として、骸骨にドリルという、主人公メカっぽくない凶悪さが素敵です。

戦闘や謎解きでは、マイクに息を吹きかけるアクションが新しい。笛を吹いたり、風を起こしたりできますが、慣れないと画面に唾がつくので注意。それと、電車の中など移動中はプレイしづらいですな。前作「無限の砂時計」では、タッチペンオンリーでプレイできたけど、今作はLボタンでアイテムを構えるアクションを多用。コレを使わないと、やってられません。ムービーは、「スタート→スキップ」でスキップ可能です。

総評としては、任天堂製ソフトらしく、悪漢の策謀に、主人公とヒロインが立ちあがり世界を救うというフォーマット通り、高水準で綺麗にまとまっている。中世ファンタジー世界を汽車で移動するという設定以外は、極めて王道の作品。タッチペンを使ったアクションは従来通りだけど、ヒネリを利かせた謎解きで楽しませてくれます。

難点は、汽車での移動が冗長になりがちなことと、ボス戦の攻略手順が厳密な割に操作がアバウトで、なかなか思った通りに動いてくれないこと。やりかたはわかっているのに、操作ミスで同じシークエンスを繰り返すこともしばしば。なまじ、救済策として体力回復アイテムがでるものだから、倒せないけど死にもしない状態で延々と戦わされる。この傾向は、ラスボス戦が顕著で、初回クリア時は、かなりしんどかった。

ライトな世界観で、緻密さと柔軟さを要求される、歯ごたえのあるタッチペンアクションでした。

『イスタンブール―世界の都市の物語』を読んだ

イスラムだけの街じゃない。

陳 舜臣著『イスタンブール―世界の都市の物語』を読了。ヨーロッパとアジアにまたがる、トルコの大都市、イスタンブール。かつてはオスマン帝国の首都だったこと都市は、さらにさかのぼれば、ギリシャ人が造り、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルでもあった。名を変え、主を変えた都市の変遷を、現イスタンブール市内にある、さまざまな史跡から紐解くのが本書の趣旨。

ツアーでイスタンブールの市内観光をすると、定番スポットと言える場所がいくつかある。トプカプ宮殿、アヤソフィア博物館、ブルーモスク、などです。本書はこれらの場所も網羅しつつ、それ以外の場所の故事来歴についても紹介してくれる。そこで強調されるのが、東ローマ帝国領からオスマン帝国領となって以降も、すべてがイスラム化されたわけではなく、キリスト教、ユダヤ教と言った経典の民も信仰を認められ、共存していたこと。モスクの尖塔が立ち並ぶ、イスラム教徒だけでの街ではないということです。

近代になって、汎イスラム主義、汎トルコ主義に傾倒する以前のオスマン帝国は、ヨーロッパ人が驚くほど、異教徒に寛容であったのです。このやり方が破綻し、実情は多民族でありながら、トルコ民族という仮想的な単一民族を定義した弊害は、「トルコ人と言えることは、なんとすばらしいことか!」という皮肉をこめたスローガンで活写されています。

多面体を立方体の箱に押しこめるような無茶をするのではなく、異質さを尊重した先人の寛容さに学ぶべきなのだろうけど、言うは易くおこなうは難し、なのでしょうね。

『円卓の姫士!』3巻をゲット

丸山トモヲさんの漫画『円卓の姫士!』3巻(完結)をゲット。

P1070714

表紙のキャラが……とは。最後はちょっと駆け足でしたが、ラブコメとバトルの融合を堪能させてもらいました。主人公も、最後は決めてくれたしね。連載、おつかれさまです。

1973年版映画『日本沈没』小野寺君ライダー

で、いつ変身してくれるのかな?

東宝特撮映画 DVDコレクションVol.6で、1973年の映画版『日本沈没』を観た。高度成長に沸く昭和の日本である日、日本列島が沈没することが明らかになり、さあ大変という映画。平成日本版はすでに鑑賞してますが、1973年版の方が面白かった。

特撮シーンは基本的にミニチュアですが、かなり気合いが入っており、造り物とわかっていても楽しめる。日本が沈没するというテーマだけに、ブッ壊しまくり、フツ飛ばしまくりが爽快。動の特撮シーンが迫力満点な一方、静の会話シーンは小声でボソボソ喋っているので聞き取りづらい。ここらへんは、劇場で観るべき映画だから当然か。主役が藤岡弘さんなので、いまにも仮面ライダーに変身しそうなモミアゲっぷりでした。

パニック物のテーマとして、世界滅亡ではなく日本列島だけが沈没するというのは、いささか小規模ではありますが、その分、日本人にとっては身につまされる題材ではある。この作品が他と一線を画するのは「日本が沈没するなら、いっそこのまま滅んだほうがいい」という意見が提示されること。他国のパニック物で、そういう考え方は、なかなかお目にかかれないと思う。

『日本沈没』は平成漫画版にハマッてから、原作、映画、マンガと一通りおさえたつもり。あとはテレビドラマ版と、ラジオドラマ版と、『日本以外全部沈没』かな。