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S.S.Princess
── プロローグ ──
★ Illustration Top:00 ★


 刀身[とうしん]から蒸気吹く長大な[けん]を構えながら、
王鳥[おうとり]すわんはこの状況をどうしたものかと思案している。

 体が熱い。
 どうにも熱い。
 だが決して暑くはない。
 赤熱する肢体を感じながら、その身は汗などかいてはいない。

 さきほどまですわんを満たしていた、熱気の狂おしいまでの情熱に、
か細い声をあげることはもうなくなっている。

 すわんはあくまでも冷静に、優雅に、毅然[きぜん]と、その比類なき容貌を、
少女が残る十四歳の身に宿している。

 そんな少女が剣を構え、今この場所に立っているという事実は、あまりにもできすぎ[ヽ ヽ ヽ ヽ]で、
客観的に見れば、限りなく虚構に近しい出来事に思えるだろう。
 だが今いるすわんの状況は、彼女を虚構へ追いやることはない。

 なぜなら、彼女と彼女の存在する世界そのものが、
濃い虚構の気配につつまれていたからだ。

 現実と虚構の狭間。
 そこがすわんの戦うべき場所だった。







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