僕が『はじまりのボタン』のことを思い出したのは、学校生活がどん底になって、しばらくしてからだった。
いじめなんて珍しいことじゃない。
しばらく我慢すれば、そのうちおさまるさ……そんなふうに思えた頃がなつかしい。今の僕は教室の隅で怯えながら、真剣にこの世界から消えてなくなる方法を考えている。