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S.S.Princess
── 特別収録 ──




 以下の文章は、すわん完全版公開に先立ち、97年冬に、その一、その二と、その三の冒頭部分だけ発表したバージョンのあとがきです。
 一応、完全版のあとがきは、この文章の続きになってマス。


あとがき

──てゆーか、なかがきのようなもの──


 うーん、全部書けませんでした、スマン。
 でもま、とりあえず本にはなったので、ウソつきの称号は回避できたのではないかと……自己正当化。
  
 はじめまして、ひらが名よっしい、じゃなくて、郁雄[いくお]/吉武[よしたけ]です。
 普段はHDCで、つたない漫画を描いたり、本のデザインなんかをやってますが、本当は小説家志望なんすよ。
  
 この作品を構想したのは今年(97年)の4月ごろ、この本の挿絵を描いてくださりやがった倭丸けるを先生の家で、コミケの準備にいそしむ、けるを氏やさかなさんの脇で、ダラダラしているとき、ふと「けるに絵を描かせた小説本を書いたら面白いんじゃないか」という話になって、けるを氏が絵をつけやすいライトノベル企画として、一晩でプロットを考えたのが、本作品でした。
 恐ろしいことに、この一晩仕上げのプロットで、すわん、まひる、からす、鯖斗、樺良、ゲンガの面々(千春御ミキはもっと後)の設定と、おおまかなストーリーが決定してしまい、以降、大きな変更はありませんでした。
 こいつぁ楽勝か、と思ったのが運のつき、そっから先が、非常に大変でした。
 文章的に読みにくいだのなんだの、主人公に感情移入ができないだなんだ、キャラクターの容姿を描写せんかわりゃ、というクレームの嵐。それを涙を流しながらぺちぺち直し、難産の末、その一が満足の行くものになったのは、プロットが完成してからずいぶんたってからでした。
 後半は、かなりのハイペースで書かなければなりませんでしたが、まひるが思った以上にイカすキャラクターになったので、ちょっとうれしいです。
  
 この作品を書くにあたり、こちらの無理な注文に、果敢に取り組んでくださった、倭丸けるを先生と、谷々樺良[たにやかばら]のモデルというか、容姿以外はまんまそのままの、谷yanに、深く感謝いたします。
  
 このような、中途半端な形で発表するのは心苦しいのですが、必ず完成させて、完全版として発表いたしますので、どうか最後までおつきあい下さい。
 
1997年冬 郁雄/吉武



 こんにてぃわ。小説の挿絵をやらしてもらだいた、「倭丸けるを」と申すものです。お久しぶりです……誰だ私は。まあいい。いやー、学園ファンタジーものはもえますねー、小説「すわんde剣姫」、私は結構イけてるんじゃないかと思うんですけど。タイトルはメチャメチャださいですけどね。猫耳少女、でっかい剣(ベルセルク並)をぶんまわす少女、など何か一時期の偏った流行りみたいなネタを使っている割に何ていうか、カッコイイ。そんな風に思ってしまいました。オリジナル作品、イイですよね。
 絵を描くにあたっては、めがねっ娘が描けて超楽しかったデス。キャラ的には、まひるが好きになりました。超級幻我(剣)が描きづらいよ、よっしい君。あんた。まあ私が未熟なのもありますけんど。きゃああ。今度オフセになるそうなので、これを読んで気に入ったひとは最後まで付き合ってあげるのもまた一興という感じデース。
それではちょっと行をつぶします。
「っきゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああみなさんごきげんようううううううううう。」

倭丸けるを






 以下の文章は、販促用チラシの裏にビッシリ書いた予告です。
 内容については……ノーコメント。(苦笑)
 完全版のあとがきで言ってるのは、この文章のコトなり。


そのXX、予告という名の対衛星攻撃兵器[エイサット]
 
「はぁ〜い、安寿(あんじゅ)でぇ〜す!」

 狩人名[ハンターコール]A鎖吐[エイサット]こと瀬戸安寿[せとあんじゅ](横浜市立烏鷺帆[うろほ]中学二年、14歳女)は、ウキウキで挨拶した。もちろん、読者にむかってである。

「今日はこのワタクシ、瀬戸安寿ちゃんが、小説『すわんde剣姫[SWANでソードプリンセス]』で、どんだけ活躍してるか、よい子に教えたげよーと思ってまーす。みんな、期待しててね!」

 彼女の発言は正確ではない。実際に安寿が登場するシーンは、その三の……ぐバキッ……きゅう(著者昏倒)。

「んなこた、どーでもよろし!だいたい、創作小説本なんて今どき流行(はや)んないし、買ってもなかなか読んでもらえない、内容はそれなりだから、ちっとでも興味をもって欲しいっつーから、あたしがこーやって宣伝してやってんのに、アンタ何様のつもりよ!」

 作者様だ……こォキッ……きゅくう〜(著者悶絶)

「はふぅー、ふぅー。しぶといヤツ……自分だって買った同人小説を読みもせずに、ほっぽらかしてるクセに、読者めマンガならとりあえず目を通しやがんのに、小説本は文章系ってだけでパスすんのはムカつくとか、身勝手にもほどがあるワ!……ま、読者が作品をどう扱おうと勝手だケドさ……んじゃま、気をとりなおして説明するね。
 このお話の舞台は、現代の日本、神奈川県横浜市中区……あ、作者が勤めてるトコじゃない。どーせ、昼休みに取材ができるとか、安直な理由で決めたのね……コホン、あ、えーとそこで、王鳥(おうとり)すわんという中学二年生の少女が、ふとしたきっかけで秘密結社《猫と狩人[ねことかりゅうど]》の首領、猫君主M[キティロードエム]になってしまった、妹の王鳥まひるを倒すために、超級幻我[ちょうきゅうげんが]という、でっかい蒸気の剣ををブン廻して《猫と狩人[ねことかりゅうど]》のメンバーを次々と虐殺……もとい、倒していく。んで、そんな闘いがくりひろげられてる横では、すわんの親友、千春御[ちはるお]ミキが、恋に悩むしょっぱい青春を送っている……と。
 う、うーん。なんか文章にすると、エラい陳腐な内容ね。バトル物なのか恋愛物なのかハッキリさせて欲しいわ。そもそも、この話ってマジに考えると、すっげーヤバい内容なのよ。エセお嬢様のすわんは町中で勝手にアツくなって、武器モノでコスプレしてるし、まひるは洗脳されて猫耳で人類の敵になるし、ミキはだんだんブッ壊れてくるとゆー。あーもーなんだか、やりたい放題な内容なのよ。
 野郎はヤロウで、章のタイトルになってるくせにちっとも登場しない山際[やまぎわ]からすとか、解説者のクセに、てんでバカちんのゲンガとか、猫耳フェチな変態美形の谷々樺良[たにやかばら]と、造形ヲタクでニブニブ小僧な谷々鯖斗[たにやさばと]の谷々兄弟とか……だいたい、谷々[たにや]ってナニ?タニタニよ、谷谷。どーゆーセンスかしら。谷yanもゲッソリだわ……あと、まひるの手下のN篠遊園(エヌシノユウエン)ってのにさせられた、歴史の根深戸[ねぶかど]先生とか……ネブカドネザル2世をエジプトの王様と勘違いされて、ファラオとかあだ名がついてるし。そりゃ新バビロニアの王様でしょーが……って、いま調べて愕然としたんだケドね……あと、すわんとまひるの両親の、王鳥飛翔とあずさ……この人たち、特にあずささんがブッ飛んでるのよ……あと、都院B[トインビー]だの久理数P[クリスピー]だのU暴徒[ユウボウト]だの、日本語の乱れもココに極まった!って感じのイカれた名前をもつ《猫と狩人》の社員達とか……秘密結社のメンバーは社員っていうんだって。なんか、サラリーマンみたいよね……とまあ、長編小説とはいえ、キャラ数がかなり多いの。大河ドラマ並の大風呂敷をムリヤリ圧縮して完結させてるもんで、途中から、やたら話のテンポが早くなるから、気をつけないとナニがなんだかわからなくなるわよ。久理数P[クリスピー]って社員が反乱を起こしたときなんて、一行だけ、反乱しましたぁーとか書いてあんだから、ふっざけてるワよ、まったく!
 
 ……はぁはぁ、一気にしゃべって疲れたワ。ちょっと休憩させて……
 
 ふひぃー、あ、いやいや失敬ちゃんでした。まぁ、こーゆーイカれた連中はどーでもいーのよ。肝心なのは、このワタクシ、瀬戸安寿の大活躍……ルビは『だいくゎつやく』ね!……えと、大活躍[だいくゎつやく]デース。んでね……」

 
 そこで、彼女の声はとぎれた。ちなみに瀬戸安寿のネーミングは、作者が日本海を旅行したとき、佐渡島[さどがしま]へのフェリー乗場に展示してあった安寿[あんじゅ]厨子王[ずしおう]の人形がマヌケだなぁと思ったのと、能登[のと]半島の真ん中にぽっかり浮かぶ能登島が、要塞みたいでカッコいいと思ってた時期に書いたキャラなので、当初は能登[ヽヽ]安寿だったんだけど、語呂(ごろ)が悪いので、瀬戸内海の瀬戸にしたという経緯で生まれたキャラクターである。すわんとミキのクラスメートAという設定で、名前を出すつもりもなかったのだが、ついでだから《猫と狩人》の社員にしちまえ!とゆー安直な理由で名前と性格づけがされた。作品的にはまったくもって、どーでもいいキャラなので、本編を読まれた方は安寿の扱いにガッカリしないよーに。
 
 きゅドコーン、ボフぼふ。ズガガガガガ(著者、満足して爆殺(やら)れる)
 
ステキ少女 「ぜ〜は〜、ぜぇ〜はぁ〜。おにょれぇ、いらんことをグダグダ解説しおって!!これから精神作用力[ミュールフォース]存在体[イグジスト]とか、半憑依[はんひょうい]やら多重半憑依[たじゅうはんひょうい]、そーゆー作者のひとりよがりな、こムズカシげな理屈を、高尚なフリして解説してやろーとおもったケド、やーめた……いーもん、ブッチャケにやっちゃうから……精神作用力[ミュールフォース]ってのは、人間の心を自由に操れる力で、アイシャドウだかファウンデーションだかいう海外SFに登場する、精神作用力[せいしんさようりょく]ってのをパクッたのモノで、作者のオリジナルじゃないの。んで、存在体[イグジスト]ってのは、霊魂のコト、半憑依ってのは動物の霊魂を半分だけとり憑かせて、ケモノパワーが使える半獣人になること……半分ならオーケーって、なんかご都合主義よね……多重半憑依[たじゅうはんひょうい]ってのは、いっぺんにたくさんの霊魂をとり憑かせて、なんかものスゴげな超能力が使える、まひるだけのスペシャル半憑依よ……ちなみにワタクシも、《猫と狩人》の社員なモンですから、ステキないきものを半憑依させてマース!それは……本編を読んでのお楽しみぃ〜!ぱふパフ、どんドンドン!ふぁっ、ファー!
 
 ……いろいろ事情ってモンがあんのよ、この世界ももね……ふっ。
 
 んま、そんなこって、すわんde剣姫[SWANでソードプリンセス]……本編じゃ超級剣姫[ちょうきゅうけんき]って呼ばれてて、誰もソードプリンセスなんていわないんだケドね……もうすぐ刊行されます。いや、実はまだ、その五を書いてる途中で、その四はルビもふり終わってないんだケド、とにかく出します。一部では、まひるde猫君主[MAHIRUでキティロード]ではないか、とか本編が完結してもいないのに《猫と狩人》のメンバーを主人公にした外伝小説を書かせてくれとの打診があったりとか、そんじゃ作者も本編が終わったら外伝小説でも書こうかい、んで第一弾はあたしを主人公にした『安寿のステキな大冒険(仮称)』にしようとか、なにやらイロイロなことが動きはじめているの。
 今から大注目の長編小説、すわんde剣姫[SWANでソードプリンセス]
 それはもう、はぁすわすわってカンジの、すわんde剣姫[SWANでソードプリンセス]
 瀬戸安寿も大活躍のステキ小説、すわんde剣姫[SWANでソードプリンセス]。みんな、ヨロシクねぇ〜!」

 
 そして安寿は営業スマイルを崩さぬまま、烏鷺帆[うろほ]町の街に鼻汁を垂らしながら、軽やかなツィストステップで消えていった。ちなみに『安寿のステキな大冒険(仮称)』は外伝シリーズの一つとして検討中ですが、第一弾になるなんて話は知りません。

「勝手なナレーション、すんじゃナぁイ!死め、テメー!!」
 
 くカッ!(著者、謎の陽子崩壊現象で、太陽系をまきこみながら、消滅)。
 
 無論、すべてはなかったことになる。


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