わたしはボタンを押さなかった。
そして寿命で死に、目覚める。
装置から出ると、『はじまりのボタン』をくれた係員が、お疲れ様と声をかけた。記憶が急速に蘇ってくる。
そうだ……わたしはこの装置で、異なる人生体験をしたのだ。わたしとは違う、ある男の一生。奇妙な感覚だ。