ワシは老いた。『はじまりのボタン』を押さずに今日まで生きてきたのは、果たして正解だったのかどうか。
いや、こうしてそれを悩む余裕があることこそが、答えなのかもしれぬ。
静かに余生を送る今も、ボタンを押すことを真剣に考えた日々を思い出す。それは幾度かあったが、どれも人生の転機となる瞬間だったと思う。