週貼絵
9月に出版した拙著、〈
クイックハルト〉をレビューしてくださる方に献本させていただく、
レビュー献本企画。現在も受付中ですので、お気軽にお申し込み下さい。レビュー内容は一切、お任せです。よろしくお願いします!
本日は
昨日の続きで、ワタクシ
郁雄/吉武の創作活動について、その2。
当サイトを一般公開した
2000年4月1日の日記に、〈クイックハルト〉のことが書いてあって、自分でもビックリしました。いつまでかかってンだか。そして
コレが、あとがきに記述した
2001年の〈クイックハルト〉年賀状。基本は変わっていません。
そうそう、〈
すわんde剣姫〉、〈
ストレイトティーブレイク〉と書いて、次に考えたのが〈クイックハルト〉でした。当時、〈新世紀エヴァンゲリオン〉の二次小説を沢山読んでいたので、原作者以外の方々が無数に物語を創っている、というのが興味深かったです。で、そういうのを書いてる方に、エヴァは描かれていない部分が多いので、想像を膨らませる余地がたくさんあるから二次創作の素材として使いやすい、というような話を伺いました。すわんを書いていた時は、ともかく完璧に世界観を完結させることに必死だったので、穴があるから良い、などという話は非常にショックでした。完璧にやっちゃイカンのか、と。
そこらへんも念頭に置いて、構想を立てた〈クイックハルト〉。
こちらに初期設定が書いてありますがコレ、今回の話ではなく、20年後の話です。名前が同じで設定の違うキャラがいたりするのは、そういうコト。本書のあとがきに、"2回の全面改稿を経て"とありますが、1回目に書き始めたのがこの物語です。設定も、当時とはけっこう変わってるし。……が、書いてみて、コリャとても終わらないな、とも思いました。世界観を説明し、主人公の設定を説明し、謎の敵と因縁があって……とやってると、原稿用紙1,000枚でも納まりそうにありません。どうしたモンかと思っているうちに、本書の執筆は停滞してしまいました。
もちろん、この他にも書きかけで終わった作品はたくさん存在しますが。
次に発表したのは、〈
裏側の月世界〉という作品。
サーファーズパラダイスの
小説コーナーにてWeb連載させていただきました。
こちらで1話のみ読めます。以降を読むには、
有料登録が必要です。手軽に読めないので、少し詳しく作品解説をしますと、20世紀初頭ぐらいの科学技術を持つ、架空の月世界が舞台。ヴェルヌの〈
月世界へ行く〉を下敷きにしています。月の裏側に人の住める領域があり、そこへ砲弾ロケットに乗って訪れた、主人公のカナタ少年と、銀毛の大型犬シルバー、モノグサだけど有能な美女、ヒースロウ教授の2人と1匹が冒険を繰り広げる話。物語はカナタ少年の1人称形式で進みます。新月騎士団という謎の敵が出現し、ヒースロウ教授と闘うのですが、敵と味方が何のために闘っているかは、最後まで明らかになりません。裏側の月世界の各所に存在する、月世界文明の遺産が関係しているようですが……。この作品は
200枚未満で完結と、枚数的には上手くまとめられたと思っています。視点を主人公1人に限定すると枚数が絞れる、というのはこの作品で学びました。はじめて、小説を連載して原稿料をいただいた作品でもあります。あと、Web小説はタダで公開しないと読んでもらえないってコトもね!
この頃、
会社をリストラされ、しばらく無職でした。ニートという言葉が生まれる前だったので、クラス名はプー太郎。
沖縄や
北海道へ行き、
車を買ってドライブしたりと、アウトドアな引きこもり生活が続く。時間がタップリあれば執筆が進むというモノでもなく、〈クイックハルト〉も煮詰まり気味。なにか手っ取り早く送れる
小説賞はないかと応募したのが〈
電気仕掛けのブンガク賞〉という、PDA向けの短編小説賞。すぐ読み終わるゲームブックみたいなモノです。コレに〈
はじまりのボタン〉という作品を応募して、
作品賞とギミック賞を受賞。実質的な1位です。この作品、なにが良いって、コストパフォーマンスが激高。構想1ヶ月、執筆1晩で、賞金と副賞の
PDA2台(2部門受賞だから)もゲットしてしまいました。これがきっかけで、執筆依頼が! ……と、期待したものの、特にそういうコトもなく。短編じゃダメみたい。
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※〈はじまりのボタン〉をご紹介いただいています。タイムリー!
〈クイックハルト〉は、色々考えているうち、最初に考えた話を書く前に、世界観を説明するプロローグ編を書いた方が良いのでは、と思うようになる。ゼロ話、あるいは誕生編って奴ですね。コレが本作〈クイックハルト〉の原型となっています。主人公とヒロインが出会い、事件が発生し、やがて巨大な敵の存在が明らかに……闘いはこれからだ! オォ、コレぐらいなら短くまとめられそうだ! と、書き進めていたのですが、複数キャラ視点で書いていると、コレでも話が長くなるし、それに……。と、やはり停滞気味。いつまでも完成しないと恥ずかしいので、当日記にて〈クイックハルト〉を取り上げるコトもスッカリなくなりました。
この頃に書いたのが、〈
きせきのハオル〉という短編。伝奇アクション時代劇です。元々はマンガの原作にしようと考えたのでけど、結局マンガ企画は頓挫し、
原作のみの公開。
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※〈きせきのハオル〉をご紹介いただいています。ワンダホー!
さすがにプー太郎はマズいというコトで、某所で
パソコンを教える仕事をはじめる。といっても、明確な業務内容があるわけではなくて、派遣先の方々から、パソコン関係のよろず相談を引き受ける感じです。派遣の仕事というのは、自分には合ってるなと痛感。正社員として組織に所属するのは、なにかとツラかった。
で、〈クイックハルト〉の方は、ゼロ話を1/3ほど書いた所で、完全に煮詰まる。原因は色々ありますが、最大の問題はヒロインの設定。最初は、"幼なじみのフリして本当は実の兄妹……でも主人公ラヴ"という設定だったのですが、どうも書いてて面白くない。属性がないっつ〜の? どうにも乗れず、2度目の全面書き直し。なんとかモチベーションを高められる設定は……というコトで考えたのが、直球ド真ん中に"
巨乳"という設定。これは書いてて燃えましたね。物語の視点も、複数ではなく主人公1人に固定。で、どうにか完成版とほぼ同じものが半分完成。知人に読んでもらった感想も、なかなか良かった。
パソコンを教える仕事の
契約期間が終了し、それから別口で
東京に派遣仕事へ。職場や業務内容は変わってますが、コレが現在も続いている仕事です。派遣は気楽でイイなぁ。〈クイックハルト〉は半分書いたものの、後半の〈昭和日本〉編がなかなか進まない。書くべき事柄はたくさんありますが、すわんのように枚数が増えまくるのは避けたかった。できれば前半の〈平成日本〉編と同程度のボリュームで完結させたい。600枚未満で完結させるのが目標なので、書く要素を絞る必要があった。謎の敵は、
本来の1話で片付けるとして、世界観の説明も必要最低限に抑えました。世界観は自分で納得できるレベルで造り込んであるけど、それをイチイチ解説するのはクドくなるし、ストーリーに絡めた形で解説するとなると、絶対的に枚数が足りません。ということで、物語は主人公とヒロインの関係のみに限定し、それ以外の要素は主人公が知覚できるモノ以外は省略という形に。それで完成したのが、本作の第1稿。完成版とほぼ同じ内容ですが、ラストバトルがもっと短く、かわりに本来の1話に続く、エピローグがありました。
完成してヤレヤレ……と思ったのだけど、知人に読んでもらったら終盤の評判が悪い。ラストバトルがしょぼい、エピローグ最悪と言われ、それからアレコレあって、
出版社の方にもオチだけは変えてくれと言われ、現在の形になったという次第。結局、前半の〈平成日本〉編より、後半の〈昭和日本〉編の方が、若干長くなってしまいました。僕としては最初、ともかく謎の敵よりも、世界の謎よりも、主人公とヒロインの関係に焦点を当てたかったので、比較対象となる
中島近恵の出自は詳しく書いても、ラストバトルはさっくり終わっていいやと思ってました。でも、エンターテイメントとしては盛り上げる形に改稿して正解だったのかな、とも思う。カットした本来のエピローグは、コレはこれで良いという意見もあったけど、潔く削除。かくて本作は上梓されたという次第。もっともコストパフォーマンスが高かった〈
はじまりのボタン〉に比べ、〈
クイックハルト〉の何とコストパフォーマンスの悪いコトよ。