昭和のクリエイター賛歌:映画『風立ちぬ』を観てきた

具のない美味な肉まんみたいな映画でした。

アニメ映画『風立ちぬ』を劇場で鑑賞。ネタバレ注意。お盆休み前に仕事をきっちり切り上げて定時ダッシュ。実在する零式艦上戦闘機を設計した堀越二郎技師を主人公に、同名の小説『風立ちぬ』をミックスした作品。昭和のクリエイターががんばって一線級の戦闘機を開発しつつ、美女ゲットするも、最高傑作の零戦はやられメカとなり、妻は結核で帰らぬ人に。でも、俺がんばったよね、という話でした。七試艦上戦闘機の失敗から、九六式艦上戦闘機の試作機が完成するまでがメインで、肝心の零式艦上戦闘機の開発物語はバッサリカット。零戦が戦闘機として活躍するシーンがないのはともかく、開発シーンまでカットとは、美味しい肉まんの具を抜いて味わうようなもの。堀越氏の業績は概要だけでも勉強してから観るべきかも。

賛否両論ある作品で、僕も手放しで賞賛はできません。まず主人公が声優じゃないどころかタレントですらないというのは、あまり気にならず。違和感はありますが、すぐ慣れた。むしろ、お兄様ラブの妹や、ヒロインの父親といったエンターテイメント作品なら恋の障害になるべきキャラクターがまったく機能していないあたり、新人が真似できない、巨匠だから許される造りになってるほうが気になった。

零戦開発者の堀越二郎技師は、以前から興味のある人物で、自作品にも堀越姓のエンジニアを出すぐらいにはリスペクトしているのですが、本作の堀越氏は史実に沿いつつも多分に脚色されている。史実に近い堀越二郎を主人公とした作品としては、小沢さとる著『黄色い零戦―イエロー・ファイター』がオススメ。実在の堀越氏は、酒もタバコもやらない人ですし、夫人は二郎氏が亡くなったあとも存命だったそうです。

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