『セルフネグレクト』Twitterで小説を:その131~140 #twnovel

クオリティをさらに上げたい。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

131)●流星:隣に停められたスポーツカーに、ぎょっとする。宇宙を翔けそうな、流線型のフォルム。路面との隙間はほとんどなく、タイヤが車体にめり込みそうだ。まともに走れるのか? 愛車に荷を積み、ふと横をみると、例の車が消えている。茜色の夕空に、駆け昇る流星。まさかね……。

132)○ベッドライナー4:偽造した社員証をつけ、オフィスビルに侵入する。朝の通勤時は、ゲートの認証もフリーパス。ネットワークの堅牢さも、これでは台無しだ。あきれる響美に、船真は言う。「偽造の社員証は、家庭用のプリンターで出力しただけさ。これが本物と同じ作り方だからね」

133)○ベッドライナー5:侵入したマシンルームで、響美は断言する。「このサーバは直接、クラックするのは無理ね」「どするのさ?」船真の問いに、彼女は隣のラックに据えられた機器を示す。「でも、更新前のこの旧サーバなら、クラックできる。構造は一緒だから、裏口を特定できるわ」

134)●ナビの空白:初めての首都高。ナビを頼りに入り組んだ道を走っていると、不意に地図表示が固まる。フリーズだ。「嘘だろ……」現在位置が、さっぱりわからない。気づけば、景色が東京らしからぬ異境に変わっていた。ナビが告げる。『現在地を特定できません。ここはどこですか?』

135)●Why?と諦:「例のブツだ」「ありがと。開けても良い?」「断固として、未開封を要求する」「じゃ、決然と開封を強行ね」「おいっ」バリバリ……。「って、ぶどうパン? アンタの好物じゃない」「まぁな」「つまり、ぶどうパンあげるからキスさせてよと?」「まぁ……むぐっ」

136)●転車台:「コラッ、入るな!」立体駐車場入口の転車台を横切ろうとして、怒鳴られた。「いいじゃん、ケチ」構わず、転車台に乗ったところで、固まる。手足が動かない。円盤上に奇怪な模様が浮かび、扉が開くと、煮えたぎる世界が広がる。「そこまで生贄になりたいのか。承知した」

137)●セルフネグレクト:朽ちたアパートの奥底に、老人は独居する。「いつまで、こんな生活を続けるのですか?」「ほっとけ若造」「嫌ですね」男は拳銃を抜き、老人に向ける。途端に、利き腕が雑巾のように捻れ、体液が滴った。それでも男は動じない。「万障を捻る、その力が必要です」

138)●蟲虫:書かれた名前は「蟲虫」。ムシチュウ、だろうか。ムシムシ、だろうか。「失礼ですが、何とお読みすればよろしいでしょうか?」蟲虫氏は、つまらなそうに答える。「見た通りですよ。虫がよっつで、ムシムシムシムシです」そうきたか。直球すぎて、連打で無視するレベルだぞ。

139)●呼び鈴:ファミレスで、呼び鈴を押す。「ただいま伺います」即座に声が返るが、それっきり。次で9643回目だ。こうなれば、店員が来るまで何度でも押してやるぞ。「パパ、あの人、何してるの?」「滅びた世界を忘れたくない人だよ」廃墟の中、彼は最後まで呼び鈴を押し続けた。

140)○ベッドライナー6:「ハニートラップだったわけか」二人はサーバルームに幽閉されていた。響美は、サーバに保管された病歴を含む生の個人情報に魅了され、役に立たない。船真は、囮のサーバにスタンガンを炸裂させる。火花散る残骸を前に、響美は怒りを省略して作業を再開させた。

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