Twitterで小説を:その71~80 #twnovel

創作のコツをつかみたい。

Twitterで書いている、140文字小説のログです。

71)●バカ発見器:その短文に、日本が震撼した。現職の総理大臣がツイッターで、「バカはしぬ」とつぶやいたのだ。本人? 誰が? 俺が? 自殺予告? さまざまな憶測が飛び交う。当人は釈明をしなかったが、支持率は増加に転じたそうだ。バカと思われたくないバカは、意外と多いな。

72)○狭間:「あなたは事故で死亡しました」「ここは死後の世界?」「そう捉えていただいて結構です」「これからどうなるのさ?」「現在、新しい肉体を培養中です」「治るんだね」「はい。現代の技術なら蘇生可能です」「それって、死んでないのでは?」「法律的に、あなたは死者です」

73)●忙中:年の瀬になっても、仕事に終わりが見えない。終電ギリギリの時刻に、メールが着信する。『ことしは、パパもサンタさんもいそがしいんだね。ぼくはへいきだけど、ママがさびしいって、しくしくないてるよ』『悪かった、二歳の息子にもよろしくお伝えください』と、妻に返信。

74)●誤表記:相応の購買を受けてもらおう。ネット通販サイトで、新品のパソコンが一万円だ。速攻で999台購入。もちろん、大半が中身のないディスプレイであることはわかっている。あの中にただひとつ在る、「世界の欠片」。誤表記の真価を知る者たちはすでに、争奪を開始している。

75)○除夜:場末の寺院に蓄積された、闇と対峙する。年末の人間たちは、存在定義がゆがむ。突キ、裂キ、除ク。突キ、裂キ、除ク。腐臭をまとった暗黒を神刀で斬り刻み、梵鐘で浄化する。刻む数は、ハンドレットエイト。除夜の鐘が高らかに凱歌を唄い、腐った夜は清浄な闇へと還った。

76)●肉欲:ボクの悩みを聞いて欲しい。もうすこし、ムネが要るのだ。ホラ、こんなふうに、両手で掴めるぐらいじゃ物足りない。もっと、両手からあふれるぐらいのボリュームを希望。むにむにと、塩、コショウをもみ込んだら最高だと思わない? ボク、鳥ムネ肉の調理には、こだわるよ。

77)○竜洞:穴蔵を抜けると、鮮烈な陽光に目がくらむ。細めた視界の先で、朝日に裏打ちされた巨塊がゆるりと首をもたげる。青年は震えながら、口元で火焔をちらつかせる古竜に、暦の石版を差し出した。十二年周期の盟主が委譲される。ウサギ族の青年はピクリと耳を弾き、息を吐いた。

78)●苗床:その庭園の惨状に、竜族の少女は息を飲んだ。植えられた苗は塩にやられ、火であぶられ、瓦礫の隙間からしおれた先端がのぞく。昨年、花を咲かせたものはごくわずか。少女は手にした数粒の種子を、祈るように苗床へ蒔く。今年は、希望の種がたくさんの花を咲かせますように。

79)○都市鉱山:相棒が、コンクリートの壁を破砕する。「昔は、電子機器に使われた貴金属の総量が鉱山なみだから、都市鉱山って言ったんだぜ」「らしいな」俺は石壁の奥に貼りついた、ナノマシンの分泌物を回収する。廃棄都市で産出される、貴金属を含むゲロ。これが現代の都市鉱山だ。

80)●ステマ:「このRPG、キャラデザは有名漫画家、シナリオは人気ラノベ作家、音楽は大御所の作曲家。もう買うっきゃないぜ!」「それってステマ、ステルスマーケティングってやつだろ?」「うん。実は、このソフトの評判を落とすために、ステマ疑惑を起こすステマをやってるんだ」

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