鎌倉の闇へと帰る

PHSが通じるようになるには、停電後もちょっと時間がかかった。

震災後の数少ない良いことは、職場が定時上がりでOK……てゆ~か、さっさと帰れという雰囲気になったこと。まあ、もともと仕事が終わっていれば、定時に上がっても何ら問題はないはずなのですが。そんな感じで、仕事を終えて鎌倉の自宅へ向かう。しかし、計画停電第1グループの鎌倉は、計画停電の真っ最中。JRは動いているのに、窓外の景色は墨一色という不思議な光景を経て鎌倉駅へ。駅舎と一部の建物にだけ電気が点り、残るは闇。心持ち、多めの星明かりを頼りに、いつもの通勤ルートを歩く。車のライトに煽られるように、無灯火で走るチャレンジャブルな自転車を横目に見ながら闊歩してると、不意に文明の光が周囲を包む。午後8時すぎに、予定よりだいぶ早く計画停電終了。商店主が、店内に灯したロウソクの火を吹き消すのが見える。かくて、鎌倉の闇は払われたのでした。

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