映画『ハート・ロッカー』空廻る勇気と正義

昔はスーパーマンだったのに、今じゃ……。

第82回アカデミー賞6部門受賞の映画『ハート・ロッカー』を劇場で鑑賞。ネタバレ注意。2004年のイラクを舞台に、爆弾処理に命を賭ける米兵を描く。エンターテイメント重視の『アバター』を押さえた、リアリティ重視の戦争映画ということですが、なんとも主人公がいただけない。仲間の危険もかえりみず、ずかずかと爆弾に近づいて処理、処理、処理。スキルも経験も豊富なんでしょうけど、強運の持ち主というよりは、単なる怖いもの知らずという感じ。仲良くなったDVD売りの少年が殺されたと思いこんで、民家を襲撃してみたり、せっかく生還したのに、麻薬中毒のようにふたたび戦地へとおもむく。守るべき家族もいるのに、それすら置いて危険を求める意味不明な主人公。なんだよコイツ……。戦場描写がリアルなだけに、エキセントリックすぎる主人公の行動が鼻につきます。

つまりは、そういうことなのでしょう。もとは自分が援助していた国家に攻めこみ、ありもしない大量破壊壁を求めてグダグダな戦いを続ける某超大国。共感を拒否するような、戦争中毒の主人公が何を象徴しているかは、観る側の判断に任されています。

「映画『ハート・ロッカー』空廻る勇気と正義」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 映画批評OX

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください