愚直な軍人一家『楊家将』

愚直すぎて損ばかり。

北方謙三著『楊家将』を読んだ。中国では『三国志』や『水滸伝』とならぶ人気を誇るそうだけど、日本ではマイナーな『楊家将演義』を典拠とした軍記物。北宋時代に有名を馳せた、楊業率いる楊家軍の活躍を描く。もとは北漢に仕えていたが、あまりにも主君がダメダメだったので、仕方なく北宋に鞍替えし、北漢滅亡後は北方騎馬民族国家、遼との最前線に立つ。

根っからの職業軍人である楊業は、戦は滅法強いけど、政治的な駆け引きには疎い。愚直すぎて損ばかりしていますが、楊家軍の勇名は敵味方に轟き渡っている。ライバルである遼にも、耶律休哥(やりつきゅうか)という名将がいて、両者の勢力が、ともに抜きん出た強さを誇る。

対立する北宋と遼は、美点も欠点もある組織として描かれ、一概にどちらが正しい、強いとは言えない所が秀逸。シンプルで読みやすい文章は、とても参考になります。

「愚直な軍人一家『楊家将』」への2件のフィードバック

  1. おぉ、北方読みましたか。彼の文体は思わず真似をしたくなる文体ですね。読みやすい作品が多いのですね。ハードボイルド系もおすすめです。

  2. >酒#童人さん
     
    最近、漢字とひらがなのバランスについて悩んでいましたが、本書を参考にして自分なりの文体を創ろうと思ってます。
    面白かったので、続編の『血涙 新楊家将』も注文しちゃいました。

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