極寒の電気自動車試乗『EV FOR EVERYONE 横浜』

なかなか実用には厳しいな。

日産の電気自動車実証実験『EV FOR EVERYONE 横浜』に申し込んでみた。横浜の関内周辺を、2人乗りの電気自動車『NISSAN New Mobility Concept』で3.5時間走れます。実験なので費用は無料。現在は受付終了してますが、将来的には有料でカーシェアリングサービスを開始したいのでしょう。

僕が予約したのは日曜日の15:30から、元町・中華街駅ステーションにて。山下町地下駐車場の地下3階だったのですが、Googleマップに登録された場所がちょっとズレてて悩む。正確な入口はココでしょう。


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予約した時間より30分ほど早く行ったのですが、すぐに受け付けてくれました。書類にサインして、簡単な操作説明を受ける。

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左側が今回借りた『NISSAN New Mobility Concept』。起動はキーレスエントリー式ではなく、カギを挿してしばらく廻したままにして、表示が「GO」になるまで待ちます。後部席はかなり狭く、ひとりでベルトを締めるのも難しい。小柄な人でないと厳しい。前席は左側から3点で締めるほか、右肩側からも掛けて固定する。後席ほどではないにしろ、前席もかなり狭いです。扉は跳ね上げ式。左右に窓はないので、風が吹き込みます。冬場は寒いので、防寒対策はしっかりしておきたい。厚着をしてると、狭い車内がますます狭くなります。

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操作系で一般的な自動車と違うのは、ウインカーのレバーが左側にあること。慣れれば操作は問題ないけど、左右どちら側が点いてるかが表示されないのがちょっと不安。電気自動車らしい装備としては、ウインカーのとなりにある、歩行者警告音を発するスイッチ。クラクションを鳴らすほどではないけど、歩行者に注意を喚起したい場合に操作します。ちなみに、クラクションは左レバーの先端にある丸ボタン。

左にあるDボタンを押して前進、Rボタンでバック、DとRボタン同時押しでニュートラル。クリープ現象はなく、坂道ではバックしてしまうのでブレーキからアクセルの踏み替えは迅速に。ハンドブレーキは左下にあるレバーを手前に引く。個体の問題かもしれませんが、ハンドブレーキの解除がしづらかった。坂道発進と、駐車場の周囲を1周して練習終了。走行可能エリアは京浜東北線より海側、桜木町駅から石川町駅あたりまでと決まっており、有料道路や高速道路に乗ってはダメ。もしエリア外で事故を起こすと保険の適用外になるそうです。とりあえず、以前行った「日産グローバル本社ギャラリー」に向かう。

走ってみれば小さなオートマ車という感じ。モーターのうなる音が耳につきますが、乗り心地はそれなり。加速はあまり良くないけど、アクセルベタ踏みすれば他車に遅れることはない。50キロぐらいは問題なく出せます。ちょっと走って感じるのは注目度の高さ。歩行者に注視されまくりで、落ち着かないレベル。カーナビとして、ダッシュボードへスマートフォンが据えつけてありますが、スタンドに固定してあるだけなので、駐車中にいたずらされそうで怖い。左右、ガラ空きですからね。駐車場は、指定の場所のほか、立体駐車場と路上パーキング以外の有料駐車場が利用可能とのこと。正直、こんなノーガードのレンタカーを放置するのは怖くてできませんでしたが。

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グローバル本社ギャラリーも電気自動車の貸出場所になっており、連絡すれば停めさせてもらえる。中ではラジコンの大会が開かれてたのと、先週『東京オートサロン2013』で見た「ジュークNISMO」が展示されてたのが印象的。北限まで走ってから、南限である港の見える丘公園まで走る。坂道も、特に問題なく走ることができました。

走行可能エリアをおおむね走ってみましたが、日が落ちると急激に寒くなる。防寒はバッチリしてきたけど、それでも手足が冷えて来ます。バイクに慣れた人なら大丈夫かもしれませんが、普段は乗用車に乗ってる人間には厳しい。同乗者から、もう耐えられないとギブを告げられたので、予定より1時間早く返却。

周囲から注目されまくりで面白い体験ではあったけど、コレを日常の足として使うのは厳しいと感じました。ハンドルが重く、加速もひと昔前の軽自動車なみ。冷暖房なしで、風が吹き込む。席が狭く、特に後席の乗り降りが大変なため、気軽にカップルで観光スポットを巡る、みたいな使い方は実用的ではないです。屋根付きバイクとしては鈍く、クルマとしては居住性が劣悪。近距離の移動手段と割り切っても、まだまだ改良が必要と感じました。

家に帰るために愛車のジュークに乗ったら、加速は良いし空調が効いて快適だしと、現代の乗用車がいかに優秀かをあらためて実感した次第。