淡々と独裁者『劇画ヒットラー』

いちばんいいのはしゃべり方を心得ている労働者だ、脳ミソはたいして必要としない。

水木しげる著『劇画ヒットラー』を読む。第一次世界大戦後、売れない画家だったドイツ人青年が、かの悪名高き独裁者となり、破滅するまでを描く。記録をもとに淡々と描写されるため、英雄ではなく、悪魔でもない、当時の社会情勢が産んだ、いびつな権力者として描かれている。

水木しげるの戦記マンガというと、戦艦の描写には気合いが入っているけど、戦車はいまいちおざなりな印象があるのだけれど、本作は戦車もきちんと描かれてますな。