意欲に燃える『アークライズファンタジア』をクリア

ボコボコにしちゃうよ!

Nintendo WiiオリジナルのRPG『アークライズファンタジア』をクリア。例によってネタバレ注意。「濁竜」と呼ばれる魔獣が跋扈する世界、「フルヘイム」を舞台に、主人公の傭兵ラルクが、ヒロインのリフィアと出会うことで、世界の運命が動いてゆく。

ストーリーは、複数の理想と愛憎が渦巻く怒濤の展開。仲間と思われた人物が、裏切ったり敵役になったり、また仲間になったりと、中盤すぎまでめまぐるしく入れ替わる。視点が主人公に固定されているので、他のキャラクターがどこで何をしているか、していたかは、伝聞するしかない。パーティーを離れたかつての仲間が、心変わりしたり、悪政をはじめたりと油断がなりません。

パーティーメンバーは、最大6人+ゲスト1人。戦闘に参加できるのは、3人+ゲスト1人で、これが全滅するとゲームオーバー。戦闘中の入れ替えはできない。戦闘システムが複雑で、「たたかう(通常攻撃)」の他に、「エクセルアクト(必殺技)」、「光召術(魔法)」、「アームフォース(武器固有技)」、「ログレス(召喚魔法、主人公のみ)」などがあり、それぞれ使いどころが異なる。これらの要素は徐々に追加されるので、混乱することはないのだが、理解するのは面倒でかつ、理解しなければ攻略はむずかしい。

戦闘は、ザコが楽勝で、ボスが厳しめというバランス。ザコも、終盤になると結構きつくなります。敵には弱点と耐性があり、これに応じた武器防具の設定が必須。終盤になると、ザコ戦用とボス戦用の装備、パーティー構成を考える必要がある。ボス戦は、攻略情報に頼らない限り、1戦目は様子見のつもりで臨んだほうがいい。勝てるとしても、1時間ぐらい延々と戦う羽目になる場合も。1ターンで戦闘不能にならない体力を維持しつつ、大技で削っていくという感じ。「光召術」は回数制限があるので、回復は終盤までアイテム頼み。ボスの攻撃に回復が追いつかない状況になったら、装備を見直すか、レベルを上げて出直すしかない。ちんたら戦っていると、平然と体力が全快しやがります。

総評としては、やりがいのある和製RPGとして、非常に楽しめました。すでにクリアずみですが、クリア後に入れる隠しダンジョンも進めてる。場面の切り替えもスピーディーで、読みこみのストレスは皆無。キャラクターが立っており、展開にもめりはりがあるので、ダレることがない。大胆な展開の連続で、中盤は葛藤していた主人公も、終盤では独自の立ち位置を確立してくれる。成長物としてもボーイミーツガール物としても、バランスよく仕上がっています。

難点を挙げれば、街のマップが広大でかつ、視点が自動でグリグリ動くため、位置が把握しづらいこと。そして、一番苦痛だったのは街の聞きこみ。住民たちのセリフが進行状況によって変わるのは普通ですが、普通じゃないのが、住民によってセリフが1種類のパターンと、2種類のパターンがあり、区別がつかないこと。つまり、セリフを完全に聞くためには、すべて住民に2回以上、聞きこまないといけない。街の区画間移動を簡便にすることと、住民の未読なセリフの有無をアイコン表示させて欲しかった。

より洗練させて欲しいところは散見されるものの、ガッツリ遊べる意欲的な佳作です。