『トルコのもう一つの顔』で、コミュニケーションの達人

二重思考者(ダブルシンカー)が、ここにも。

小島剛一著『トルコのもう一つの顔』を読了。言語学者である著者が、1970年代からトルコの言語について、地道なフィールドワークをおこなった際の体験ルポ。当時のトルコで言語の調査をおこなうというのは、大変な危険がともなう。といっても、東部のクルド人が住む地域は治安が悪いから……という話ではありません。いや、それもあるのだけれど、著者は日本人ながら、トルコの全県を巡って調査をおこなっており、トルコ語はもちろん、各地の方言や地方語もマスターしているため、トルコ人よりもトルコの言語にくわしいのです。

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問題なのは、1923年のトルコ共和国成立以後、トルコには「トルコ語を話すトルコ人(それと、公認された一部の民族、言語)」しかいないことになっていること。名目上はそれ以外の独立した民族、言語が存在するはずがない。実体としては多民族、多言語国家であるのに、無理矢理に(ほぼ)単一民族、単一言語国家であると主張しているので、客観的な学術調査とは齟齬が出てしまう。本書の序盤、著者は政府に目をつけられないよう、こっそりと調査を行い、トルコの多様な言語文化に魅せられていく。中盤以降は、政府公認のもと……という名目の監視つきで、窮屈な思いをしながら調査をおこなう。読み物としては、この監視つきの調査行が、えらくスリリング。監視人について現地人に、現地語で「こいつは信用するな」と警告してから、トルコ語で「この人は私の友人です」と紹介し、うかつな発言をさせないようにする場面も。

なにより感心するのは、腹芸をふくませつつも誠実さを堅守する、著者の当意即妙な対応。相手に応じて言うべきことと、言うべきでないことを明確に線引きして、政府高官とも革命シンパともコミュニケーションを取る。複数言語をマスターするのは無理でも、こういうタフで大人な対応は大いに見習うべきでしょう。

ちなみに、本書が刊行されたのは1991年なので、2009年の現在とは情勢が異なっています。現在はクルド語によるテレビ放送が始まり、アルメニアとの和解が模索されるなど、本書で描かれた情勢よりは、だいぶ緩和、改善されているようですよ。トゥルキエ!

クリフト装備をそろえたよ:『ドラゴンクエストIX』

Nintendo DS『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』で、薬草を大量に燃料投下中(クエスト用)。

本日のスペシャルゲストは、『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に登場した神官戦士、クリフト。ファミコン版ドラクエ4は、仲間の操作がAIオンリーだったので、頓珍漢な挙動にイライラさせられたもの。その代表格が、この神官戦士殿であります。ええい、竹槍を装備させてくれるわ!

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ドラクエ4コママンガで、さんざんネタにされていた、AIクリフトがボスにザキ(即死魔法:ボスには無効)を使うことへのツッコミを、公式キャラであるサンディがのたまうとは……時代は変わったモノです。

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マンガやアニメのドラクエだと活躍するザキ系やメガンテ(自己犠牲で敵一掃魔法)も、ゲーム内ではザコ掃討用で、中ボス以上にはサッパリ効かないのが常ではありますが。ハァ~、サッパリ、サッパリ♪