『ポメラ』で持ち運べる「無題.txt」エディタ

 彼女の夢は世界とつながっていた

 パソコンで作業をするとき、デスクトップに「無題.txt[むだいドットテキスト]」というファイルを作成します。Windowsで標準的に付与されるファイル名なんだけど、思いついた事柄を書き込んだり、気になる情報をスクラップしたり、日記や小説の下書きをしたりと、チラシの裏のメモ書きていどの情報を、この「無題.txt」に書くようにしています。ここに書くと決めておけば、あとで探すのが簡単ですし、消えてこまる情報は別ファイルに保存するようにする。消えても惜しくない情報をメモしておくファイルが、「無題.txt」なのです。

 こういうレベルのテキストを書くのに最適っぽいデバイスとして、キングジムから、液晶ディスプレイと折りたたみ式キーボードのついたテキスト入力専用機『ポメラ』が発表されました。起動時間は2秒、単四電池2本で20時間駆動、日本語入力はATOKとテキスト編集に特化した、いちぶの人にはうれしいガジェットです。うれしい。
まさに、持ち運べる「無題.txt」エディタの登場です。

 起動が2秒といっても、キーボードを広げるのに時間かかるんんじゃね? とか、内蔵メモリで8000文字までのファイルが6個しか保存できないのは、いくらなんでも少なすぎね? とか、性能をしぼったわりに27,300円は高くね? とか、疑問、注文はつきませんが、方向性としては大歓迎です。

 扱えるデータがテキストのみって、素敵ですね。

 現在、ウルトラモバイルPCの『Willcom D4』を愛用してますが、中身がWindowsパソコンなだけに、やろうとおもえばひと通りのことができてしまう。できてしまうのだが、コレが難点。移動中に起動すると、メールチェックやらWebサイトのチェックやらとアレコレやっているうちに時間がすぎてしまい、書こうと思っていたテキストに手がつけられない、なんてことが多々あります。ヒマつぶしには最適ですが、移動時間を生産的にすごすのには不向き。――いや、僕の軟弱な意志では、ということですが。

 その点、ポメならテキスト編集しかできないから、文章入力のみに専念できるのではないかと。調べ物がしたければ、D4でやればよいわけだし。

 ポメに関しては僕もふくめて、関心の高い方がおおいようです。
 いろいろな方の意見を拝見していると、難点として挙げられているのは大きく2つ。

  • 8000字の字数制限は致命的
  • 定価27,300円は高い

 字数制限は、CNETのインタビューにある「技術的な問題はないが、原稿用紙20枚程度の文字量のため、メモとしてはそれぐらいあればよいのではないかと思った」というだけの理由なら、今すぐにでも撤廃すべきだと思う。テキスト入力中に字数制限いっぱいだからと作業を中断されたらどう思うか? 既存のテキストを参照しようとしたときに、字数制限で8000字以降が読めなかったらどう思うか? この手のガジェットを求める層は、ひたすらにテキスト打ちをしたいわけで、そのための障害となるなるであろう要素は、とことん排除すべき。内蔵メモリがきびしいというなら、外部メモリに保存するテキストだけでも、処理能力がゆるすかぎり巨大なデータをあつかえるようにすべきでしょう。

 値段のほうですが、確かに高いです。理想をいえば1万円前半か、せめて2万は切ってほしい。とはいえ、コストとのかね合いもあるから、ホイホイと値下げはできないでしょうけど。提案なんだけど、ポメをUSBでパソコンなどにつなげたときに、外付けのキーボードとして使えるようにならないでしょうか? 折りたたみ式の外付けキーボードって4千~1万円前後するのですが、本体だけでテキストエディタとして使える外付けキーボードとしてなら、3万弱でも出せると思う。

 ポメでテキストを下書きし、『Willcom D4』や『Willcom 03』といったモバイル機器にUSBで接続してからは、外付けキーボードとして読み込んだテキストを編集し、書類を作成したり、メールを送信したり、ブログを更新したり……という使い方ができたら最高なんだけどな。

 この2点は、やってやれないことはないと思うのだが、どうだろう?
モバイルのテキストエディター専用機って、確実に需要があるのに供給の乏しいジャンルなので、『ポメラ』の今後の発展に期待します。ポメラニアンになるか(ポメを買うかどうか)は、いまのところ保留。