「小説」カテゴリーアーカイブ

『円卓の姫士!』5話公開とコミックス情報

胃痛怒

拙著『クイックハルト』で挿絵を担当していただいた、丸山トモヲさんのWebコミック『円卓の姫士!』の5話が公開中。 いつもどおりの方向にモチベーションの高い主人公と、真逆の方向にモチベーションの高いヒロインとの、かみあわないっぷりがおもしろい。作品の方向性が明確になってきた感じです。

そして『円卓の姫士!』のコミックス第1巻が、11月22日発売だそうです。それだけでなく、以前に月刊ジャンプで連載されていた『BLOODY ROAR ザ・ファング』のスペシャル版も同時発売とか。おお、プッシュされてんなぁ。ファングはサイン本をもってるけど、2冊とも買わねばな。

『ポメラ』が欲しい人と『ポメラ』との乖離

不意流儀屋

『ポメラ』ネタは食いつきがいいようなので、続けてみます。
ポメはテキスト編集のみを目的とした携帯機器として注目を集めているわけですが、前回も書いたとおり、微妙に興味がある人のニーズを外している気がするのです。

なぜかと考えてみると、『ポメラ』が電子メモ帳として特化しているのに対し、興味がある人の多くが求めているのは電子メモ帳ではなく携帯テキストエディタ、なんですね。テキストしか扱えないけど、テキストデータに限ればいつでもガリガリ編集できる、アルティメット・テキストエディタが欲しいのに、メモ書きなら8000字以内でじゅうぶんでしょ……といわれると、サイズも、駆動時間も、キーボードも、日本語入力も必要十分なのに、なんで8000字しか書けないの? それで27,300円? ということになってしまう。世の中には、チラシの裏に大長編を書きたい人だっているのです。少なくとも、機器の仕様として大長編を書ける余地を禁じる必要はまったくない。たとえ、無理に巨大なテキストデータをひらいて処理速度が激烈におそくなったとしても、ひらけないよりはずっといい。

電子メモ帳としてではなく、携帯テキストエディタとしてこだわって欲しかった。よくぞこういう機器を商品化してくれたと賞賛したいのに、このポイントでものすごく損をしています。

僕が理想とする携帯テキストエディタは、2006年に発表したSF小説『クイックハルト』に登場させた『フィルギア(feelgear)』というマシン。

いまでいうネットブックにちかいですが──というか、いまみるとまんまネットブックですね──、電子辞書にテキストエディタとメーラー、ブラウザがついたものという設定。この作品の舞台は西暦2000年代初頭をモデルにした未来の仮想世界なのだけど、ここではモデルとなった時代の技術水準が許す範囲で、実在しない装置の存在が認められている。フィルギアは、実在したモバイルギアやシグマリオン、ペルソナといったハンドヘルドPCが絶滅せず、電子辞書と融合することで独自の進化をとげたマシン。ポメより大型で多機能だけど、ワンタッチで起動してテキスト編集を快適におこなうことに特化したマシンである点は共通しています。

この手のマシンは、編集者やブロガーといった、ネットで声の大きい人の嗜好にマッチするので、ネット情報だけだと、ものすごく需要があるようだけど、市場全体からみればごく一部の人がよろこぶニッチな商品らしい。そいう意味ではつぎにつなげるためにも、多少の不満には目をつぶってポメを買うべきなのかもしれない。

にもかかわらず、『ポメラ』が欲しい人のニーズと『ポメラ』の方向性とが微妙に乖離しているために、「欲しいけど、でも……」という煮え切らない反応になりがちなのではないかと。

もちろん、それでも買う人は買うだろうし僕にとってもそそられるガジェットなんだけど、ねぇ。

小説『エルジオーグは神じゃない』について

 滋養総称燃

 昨晩あたりから、当サイトの本家トップページおよび小説『エルジオーグは神じゃない』へのアクセス数が増加しております。

 大変ありがたいことながら、アクセス解析ではリンク元がたどれません……が、おそらくこちらのサイトにて拙著をご紹介いただいたおかげではないかと。

■秘密の小屋
■秘密の小屋:ネット作品紹介(小説・オリジナル)★その他オリジナル◎ファンタジー

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『エルジオーグは神じゃない』改稿中

下位甲虫

創作メモです。
先日公開した長編小説『エルジオーグは神じゃない』を改稿中。
枚数をふやして、終盤で詰め込みすぎになった部分を伸張し、全体のバランスを再調整します。そのほかの改稿点は以下のとおり。

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Googleブックで『クイックハルト』刊行2周年スペシャルぎみ

宮繰舞空

さる2006年9月に、『クイックハルト』というSF小説を出版いたしました。
人類がデータ上の世界に移住した未来で、平成時代の日本をモデルにした世界にすむ少年が巨大な事件に遭遇し、それにたちむかう物語。出版から、おおむね2年が経過したので、久々にネタにしてみます。ちなみに昨年もネタにしていたりする。
本書を出版していらい、さまざまなかたからご意見、ご感想をいただいているのですが、僕個人では解決が困難なご指摘に、値段が高いというものがありました。商業出版というかたちで出す以上、薄利多売に走るわけにもいかないのでしょうけど、たしかに定価1500円は、ちょっと手が出しづらい値段ではあった。
パラ読みしようにも、なかなか書店にも並んでいなかったし。じつはAmazonでも「なか見検索」という機能で一部、試し読みはできるのですが、操作性が悪くあまり読みやすいものではありませんでした。

Halt

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短編小説『イモートちゃん』

 孝行論具

 昨日公開した短編小説『イモートちゃん』ですが、ちょっと後悔しています。

 いや、作品内容がイタいとかそういうコトではなくてですね、公開した先が有名なケータイ小説サイトなもので、大きなお友だちがアクセスするのは、精神的にもネットワーク的にもツライかな、と。どのあたりがツライかは、無言でお察しください。

 ということで、精神的にもネットワーク的にもやさしい、Blog版を作成。当然ながら、エントリーごとにコメントやトラックバックも可。便利な世の中になったものですね。僕はあいかわらず平打ちHTMLですよ。

Immort
郁雄/吉武

その子のなまえは伊本エイエル。だれともちがう髪の色と、だれともちがう瞳の色をしているけれど、だれでもうれしい顔になってしまう、そんなおんなの子。さいきんはみんなから、イモートちゃんとよばれています。

イモートちゃんは、伊本さんちのもらわれっ子。ほんとうにの子どもではありません。みんな、そのことを知っていますが、だれも気にする人はいません。みんなみんな、イモートちゃんが好きだからです。

イモートちゃんには、大好きなお兄ちゃんがいます。なまえはハヤムくん。ほんとうにのお兄ちゃんではありません。伊本さんちに、ほんとうにの子どもはひとりもいません。ハヤムくんのご両親は外国で仕事をしているので、知りあいの伊本さんちに住まわせてもらっているのです。

お友だちがたずねます。

「イモートちゃんは、お兄さんのどこが好きなの?」

イモートちゃんは、むねをはって答えます。

「あのね、ハヤムお兄ちゃんにあたまをさわさわしてもらうと、ももいろチューリップのにおいがするんです」

「ももいろチューリップのにおい?」

「ハイ、とってもすてきです」

ふしぎそうな顔をしているお友だちに、イモートちゃんはほほえみます。

イモートちゃんは、チューリップが好き。いつも、チューリップがらのものをみにつけています。髪どめも消しゴムもチューリップのかっこうをしているし、かばんにはチューリップのアップリケ、ハンカチやお洋服にも、さがせばどこかにチューリップが見つかります。

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